水原元通訳 これまでの経緯

水原元通訳が違法賭博に関与し、大谷選手の資金を盗んだという疑惑が発覚したのは、ことし3月20日。

アメリカの複数のメディアが伝えたのがきっかけでした。

当時、韓国のソウルで開幕シリーズを戦っていたドジャースは翌日、水原元通訳を解雇したと明らかにしました。

それから3週間たった4月11日、アメリカの捜査当局は水原元通訳を、大谷選手の口座から1600万ドル以上を不正に送金したとして、銀行詐欺の疑いで訴追したと明らかにしました。

その翌日、水原元通訳は司法当局に出頭し拘束され、裁判所で訴追を受けた手続きが行われます。

このなかで被害者である大谷選手に一切、連絡をしないこと、ギャンブル依存症を克服するためのプログラムを受けることなどを条件に、保釈されます。

およそ1か月後の先月8日にはアメリカ司法省は、水原元通訳が検察との間で司法取引に合意したことを明らかにします。

さらに水原元通訳が違法賭博による借金を返済するため、銀行にうそをついて大谷選手の口座から無断で1700万ドル近くを不正に送金した銀行詐欺の罪に加え、新たにうその内容の納税に関する書類に署名した罪で、起訴されたとも発表します。

水原元通訳は先月14日にはロサンゼルスの裁判所に出廷し、形式的な手続きに臨みました。

そして翌日の15日、アメリカ司法省は今月4日に罪状認否が行われると発表し、この場で水原元通訳が起訴内容を認める見通しだとしています。

今後は

4日の審理で水原元通訳が起訴内容を認め、その答弁が裁判官によって受理されればこの事件で有罪となることが決まります。

これに伴い、一般の市民から選ばれた陪審員による裁判は行われず、冒頭陳述や最終弁論などの手続きは省略され、今後は量刑、つまり刑の重さを決める手続きに移行します。

量刑を決めるにあたって裁判官が参考にするのが、連邦法違反の犯罪について設けられているガイドラインです。

このガイドラインには犯罪の性質や被害の大きさ、犯罪歴などを考慮して量刑の範囲が定められています。

また今回、水原元通訳と検察側の司法取引では、量刑が57か月から71か月、つまり4年9か月から5年11か月の範囲であれば、互いに控訴しないことで合意していて、裁判官はこの合意も参考にしながら量刑を決めることになります。

また、司法取引の合意では水原元通訳に対して被害者に賠償するよう求めています。

支払う額は現時点では大谷選手に対して1697万5010ドル、日本円にしておよそ26億5000万円、また、2022年分の追徴課税として日本の国税庁にあたる内国歳入庁に対して、114万9400ドル、日本円にしておよそ1億8000万円とされています。

これを裁判官が量刑の判断を下す前に水原元通訳が支払った場合には、量刑が軽減される可能性もあります。

さらに検察によりますと裁判所に対して、大谷選手から事件によって自身が受けた影響などを説明する書面が提出される可能性もあり、量刑への影響が注目されます。

量刑が言い渡されるのは数か月先になる見通しです。

不服がある場合には、60日以内に控訴することが可能で、原告または被告のいずれかが控訴しなければ、刑務所に収監されます。

そして服役を終えたあと、日本への強制退去手続きが始まるとみられます。

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