ドイツやフランスなどユーロ圏20か国の金融政策を束ねるヨーロッパ中央銀行は、インフレの抑制のためおととし7月から利上げを始め、主要な政策金利は現在4.5%となっています。

一方、ユーロ圏の先月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて2.6%の上昇となり、上昇率はおととし一時、10%を超えていた水準から大きく低下しています。

こうした中、ヨーロッパ中央銀行は今月6日、金融政策を決める理事会をドイツのフランクフルトで開きます。

理事会のメンバーからは会合を前に利下げに前向きな発言が相次いでいて、このうちラガルド総裁は先月、アイルランドのメディアのインタビューで、利下げについて「2%の物価目標の達成に向けて確信が深まるならば、その可能性が高い」と述べました。

アメリカではインフレの根強さなどからFRB=連邦準備制度理事会の利下げの開始時期が遅れると見込まれる一方で、市場ではヨーロッパ中央銀行がインフレ率の低下を受けて今回の会合で利下げに踏み切るという見方が強まっています。

利下げ相次ぐ欧州 米では利下げ遅くなるのではと観測

ヨーロッパではインフレ率の低下傾向を受けて国によっては利下げに踏み切る動きが出ています。

ことし3月は、スイスの中央銀行が9年ぶりの利下げを決め、先月にはスウェーデンの中央銀行も利下げを発表しました。

イギリスの中央銀行は、先月の金融政策を決める会合で、政策金利の据え置きを決めましたが、一部の委員は利下げを主張したことが明らかになっています。

一方、アメリカでは、物価の上昇率がFRB=連邦準備制度理事会の2%の目標を上回っていることから、利下げの開始時期が遅くなるのではないかという観測が広がっています。

各地域の金融政策の動向は外国為替市場にも大きく影響するだけに、市場ではヨーロッパ中央銀行を含め、今後どのような政策判断を行うかに高い関心が寄せられています。

専門家 “利下げ決定の可能性 100%に近い”

ヨーロッパ中央銀行が6月の理事会で利下げを決定する可能性について、ドイツの保険大手アリアンツの金融アナリスト、ビョルン・グリースバッハ氏は「数字で表すとしたら90%、実際には100%に近い。この2週間で非常に多くの理事会メンバーが6月の利下げが議題になると明確に示している」と指摘しています。

一方「6月の会合では、その後の利下げの判断については『データに依拠する』と強調するだろう」とも述べ、年内に利下げをどれくらい行うかについては、中央銀行として物価の動向などを見ながら慎重に判断していくという見方を示しました。

また、ヨーロッパ中央銀行が利下げを行うのに対し、アメリカのFRB=連邦準備制度理事会が高い金利水準を維持した場合、金利が低くなるユーロがドルに対して売られるとして「ユーロ安が進みインフレ率が上昇するリスクにつながる」と述べ、ヨーロッパ中央銀行としてはFRBの今後の金融政策も注視していくことになるという考えを示しました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。