パリのカフェで忘れ物として見つかった宿題帳を託され、持ち主の中国人小学生に届ける……。そんな美談として拡散したSNS動画の内容がうそだったことがわかり、中国当局は動画を投稿したインフルエンサーの中国人女性のSNSアカウントを「悪影響を及ぼした」として削除した。BBCや中国メディアが報じた。
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BBCなどによると、削除されたのは、TikTokの中国国内版「抖音(トウイン)」などに開設されていた「Thurman 猫一杯」のアカウント。この女性はファッションデザイナーから転身してブロガーとなり、日常生活を切り取った動画の配信で人気を得ていた。複数のSNSを合わせると約3千万人のフォロワーがいた。
問題となった動画は、この女性が春節(旧正月)でパリを訪れたところ、カフェの店員から「小学1年8班 秦朗」と名前が書かれた宿題帳2冊の忘れ物を本人に返してほしいと頼まれた、とする内容。動画の中で、女性は空港で「冬休みの宿題を私が持って帰ってあげる」などと語った場面もあった。
動画は何百万回も再生され、1週間後には、「小学生の母親と連絡が取れた」とする動画も流していた。 しかし動画の内容の真偽を問う声が上がり、杭州警察が捜査に乗り出したところ、「秦朗という小学生が出国したという状況は確認されなかった」として虚偽の話だったことが判明したという。投稿した女性も12日、作り話だったことをネット上で謝罪した。すでにアカウントは削除されており、女性は当局から行政処分を受ける可能性があるという。
BBCによると、中国では昨年12月以降、ネット上のデマに関連して1500人以上が逮捕され、1万700人以上が行政処分を受けたという。
ネット上では、「厳重に処罰するべきだ」と女性を批判する声がある一方で、「警察が捜査するのはやりすぎではないか」という意見も出ている。
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