日立は公共交通のDXを推進する

日立製作所は1日、仏電子機器大手タレスの鉄道信号事業の買収を完了したと発表した。2021年の買収表明以降、欧州連合(EU)の競争法当局の承認を得るために一部の既存事業の売却などを進めてきた。今回の買収で事業の幅と顧客の裾野を広げる。

英国に拠点を置く鉄道事業子会社の日立レールが買収した。買収金額は16億6000万ユーロ(約2800億円)で、発表時から変動はなかった。23年10月にEUをはじめ13の国・地域の規制当局から承認を得られたと発表しており、詰めの協議を進めてきた。

21年8月の買収表明時には23年3月期中の買収完了を想定していた。欧州委員会と英国の競争法当局が域内の寡占が進むとの懸念を示したことで手続きが長引いていた。日立レールはフランスやドイツ、英国で手掛ける重複事業を他社に売却することで当局の懸念に対処した。

タレスの同事業は欧州を中心に鉄道運行や人流解析、料金収受のシステムなどを手掛ける。日立は日本や欧州で公共交通のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。鉄道やバス、自転車レンタルなど幅広い交通手段を組み合わせて利用者の利便性を高める情報システムの受注拡大を目指す。

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