台湾当局はコロナ禍から続けてきた中国行きの団体旅行の停止をことし3月に解除しましたが、中国が同等の措置をとらないことなどを理由に、来月から再び停止する方針でした。

しかし、内閣にあたる行政院は30日の閣議でこの方針を転換し、すでに募集ずみの団体旅行に限り、来月以降も中国に向かうのを認めると発表しました。

表向きは「旅行客と業者の権益を守るため」としていますが、行政院で対中国政策を担当する大陸委員会の李麗珍副主任委員は「大陸側がわれわれに向けて、軍事演習を行い、WHO=世界保健機関の年次総会への参加問題で圧力をかける中でも、われわれはできるだけ善意を示す」と述べました。

中国はコロナ後に多くの国々を対象に中国人の団体旅行を解禁しましたが、台湾への送り出しは再開せず、民進党政権に対する経済的な圧力の1つとみられています。

頼清徳総統は今月20日の就任演説で中国に対し「対話と交流を進め、協力しあうことを望む」として「相互の対等な観光往来の再開」を呼びかけています。

30日の発表はこれに向けた一歩として「善意」を示した形で、中国側がどう反応するのか、関心が集まっています。

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