米メルクは眼科治療薬のアイバイオテックの買収を発表した=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】米製薬大手メルクは29日、眼科治療薬を開発するアイバイオテックを13億ドル(2050億円)で買収すると発表した。メルクは主力のがん免疫薬の特許失効が迫っており、M&A(合併・買収)を通じてパイプライン強化を急いでいる。

メルクによれば、買収は2024年7〜9月期に完了する見通しだ。まずは13億ドルを現金で支払い、その後、製品の開発や規制当局による承認などの目標が達成できれば、追加で17億ドルを支払う。

アイバイオテックは高齢者に多く、視力低下や失明を引き起こす加齢黄斑変性(AMD)の治療薬「レストレット」を開発している。同治療薬は24年後半にフェーズ2B・3(第2後半、第3臨床)試験に入る見通しだという。

米調査会社グランド・ビュー・リサーチによれば、AMD治療薬の世界市場規模は30年までに180億ドルに上る見通しだ。患者数も40年までに世界で3億人近くまで上ると予想されている。

メルクは主力のがん免疫薬「キイトルーダ」の米国市場での特許が28年に失効となるため、年間売上高が10億ドルを超える大型薬「ブロックバスター」の開発に向けてM&Aを加速している。キイトルーダの23年の売上高は全体の4割強を占める250億ドルだった。

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