南アフリカで29日、5年に1度の総選挙の投票がはじまり、このうち最大都市ヨハネスブルクの投票所では朝から有権者が列を作り、それぞれが支持する政党に1票を投じていました。

南アフリカでは1994年にアパルトヘイト=人種隔離政策が撤廃され、すべての人種が参加する民主的な選挙が行われて以降、30年にわたってANC=アフリカ民族会議が政権を維持してきました。

しかし、長期政権となるなかで、政府機関などに汚職がまん延したと指摘され、電力や水道などの基礎的なインフラの維持管理も適切に行われなくなり、停電や断水が相次ぐ状況が続いています。

経済は低迷し、高い失業率や物価の高騰が深刻となる一方、殺人などの凶悪犯罪が多発し治安の悪化も大きな課題となっています。

地元メディアは与党ANCの総選挙での得票率がこの30年間で初めて50%を下回り、議会で過半数を割るのではという見方を伝えていて、グローバル・サウスの主要国とされる南アフリカの今後を占う重要な選挙として注目されています。

投票は現地時間29日の午後9時に締め切られ、開票には数日かかる見通しです。

45歳男性“アパルトヘイト時代のほうが今よりまし”

投票に来た45歳の男性は「アパルトヘイト時代のほうが、仕事もあり、治安も良く、秩序があり、今よりもましでした。ANCは失敗したのだから、過半数の票を得るべきではない」と話していました。

また、32歳の女性は「多くの若者が仕事がなく、家にいるしかない状況です。私たちの1票が変化を生み出してくれることを願っています」と話していました。

一方、ANCを支持する71歳の男性は「アパルトヘイトを撤廃に導いたのはANCです。ANCがこれからも変化をもたらしてくれると思います」と話していました。

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