フィリピンと中国が領有権を争う南シナ海のアユンギン礁に近いフィリピンの離島で、3千メートル級の滑走路が2024年中にも完成する計画であることが、関係者への取材でわかった。米軍の使用が認められる予定で、対中牽制(けんせい)の最前線拠点の一つとなる。

  • 「ホットスポット」目前に滑走路建設 中国の圧力にさらされる海の町

 建設地は、スプラトリー(南沙)諸島を管轄するフィリピン最西端パラワン州のバラバク島。中国船がフィリピン船に放水や衝突などの危険行為を繰り返すアユンギン礁から、南東に約200キロの距離にある。中国が軍事拠点化して実効支配するミスチーフ礁からも約250キロと近い。

 フィリピン当局関係者によると、滑走路は戦闘機が安全に離着陸できる規模で、軍用機と民間機の両方に対応する予定。

 整地は20年から始まっていたが、米比は昨年、防衛協力強化協定(EDCA)に基づき、フィリピン内で米軍が一時駐留できる拠点を5カ所から9カ所に増やすことで合意。バラバクが新拠点の一つに決まった。

 飛行場が完成した後、米軍が格納庫や倉庫などを建設する計画もある。稼働時期は未定だが、数年以内を目指している。

 南シナ海をめぐり、フィリピンと安全保障協力を強める米国。31日からシンガポールで開かれるアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)では、米中の国防相会談が約1年半ぶりに開かれる。南シナ海や台湾の問題について、双方の立場を主張するものとみられる。(バラバク島〈フィリピン南西部〉=大部俊哉)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。