衆議院の拉致問題特別委は28日、拉致被害者家族会の横田拓也代表(55)らを参考人に招いて意見を聞いた。議員から「いま一番必要なこと」を問われ、横田さんは「岸田(文雄)首相が自分の言葉で金正恩氏に対し、拉致問題を解決すれば(日朝)両国が明るい未来を描けると熱量を込めた言葉で力強く語っていただくことだ」と答えた。

 家族会や支援団体「救う会」は今年から「親世代が健在のうちに全拉致被害者の即時一括帰国が実現すれば、人道支援や独自制裁の解除に反対しない」との運動方針を打ち出している。横田さんは母早紀江さん(88)の写真を手に「姉めぐみと母との再会を実現させるため、対話局面にかじを切った。苦渋の決断だと知ってほしい」と説明。国会に対して「今後また制裁局面に軸足が移るときのため、新たにどんな制裁ができるかについて、準備の議論をしてほしい」と求めた。

 特定失踪者家族会元会長の大沢昭一さん(88)=新潟市=は、「政府に認定された拉致被害者と、特定失踪者の差は大きい」と訴えた。弟の孝司さん(失踪当時27)は1974年、新潟県の佐渡島で失踪。調査団体「特定失踪者問題調査会」は、拉致の可能性が排除できない「特定失踪者」としている。

 大沢さんは「弟を(拉致被害者と)認定してもらいたいが、確固たる証拠がないと言われる。政府はもっと深く調査して、ぜひ弟を探し出して取り戻してほしい。一人でも多くの日本人を救出してください」と訴えた。(編集委員・北野隆一)

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