最高裁はサウスカロライナ州の選挙区割りを容認した

【ワシントン=芦塚智子】米連邦最高裁は23日、共和党が多数派を占める南部サウスカロライナ州の州議会が設定した選挙区割りを認める判断を下した。区割りは黒人有権者の影響力を弱める「人種的ゲリマンダー(恣意的な区割り)」で違憲とした下級審の判決を覆した。

焦点となったのはサウスカロライナ州南東部の第1選挙区。2020年の国勢調査を受けた区割り変更により、白人有権者が多く共和党優位の選挙区になった。

米国では州に区割りを決める権限があり、各政党が自らに有利な線引きをする「ゲリマンダー」が一般的に行われている。

最高裁は19年に政党が自党を有利にするための政治的なゲリマンダーを容認する判断を示した。一方で主に人種を基にしたゲリマンダーは違憲の場合があるとの見解を示している。今回の判断では、サウスカロライナ州の州議会が党利ではなく人種を基に区割りを決めたことを示す十分な証拠がないとした。

黒人は伝統的に民主党支持が多い。黒人有権者が多い南部州では選挙区割りが政治目的か人種が理由かの判断が難しい。

最高裁は23年6月、南部アラバマ州の選挙区割りは黒人有権者の影響力を恣意的に弱めたとする原告の主張を認め、人種差別を禁じる「投票権法」違反とする判決を出している。

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