林芳正官房長官は20日午前の記者会見で、同日から予定されていたサウジアラビアのムハンマド皇太子の来日が延期されたと発表した。理由について、林氏は「サウジアラビア政府から、サルマン国王の健康状態を受けて、訪日は延期せざるを得なくなったとの連絡があった」と説明した。

 サウジで国政を取り仕切るムハンマド氏は20日から23日までの日程で公賓として来日し、岸田文雄首相主催の晩餐(ばんさん)会や、天皇陛下との面会と午餐(ごさん)などに臨む予定だった。林氏はムハンマド氏の訪日について「改めて両国間で調整していく」と語り、日程を再調整したいとの考えを示した。

 ロイター通信によると、サウジアラビアのサルマン国王(88)が肺炎の治療を受けるとサウジの国営通信が19日に報じた。サルマン国王は高熱と関節の痛みのため19日早朝に検査を受けていた。

 日本は原油の4割をサウジからの輸入に頼っており、ムハンマド氏の訪日を通じて、両国の関係をさらに深め、原油の安定供給の継続を確実にする狙いがあった。岸田首相との会談では、サウジが目指す脱炭素化社会に向けた取り組みへの日本の支援や、投資をめぐる協力関係の構築などが打ち出される見通しだった。緊迫化するパレスチナ自治区ガザの情勢についても意見交換することも想定されていた。

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