イランの国営通信は19日午後、北西部の東アゼルバイジャン州でライシ大統領やアブドラヒアン外相らが搭乗したヘリコプターが墜落する事故があったと伝えました。

夜を徹して捜索を続けていた救助隊は一夜明けた20日、ヘリコプターの機体の残骸を発見しました。

その後、国営通信は、ライシ大統領やアブドラヒアン外相を含む全員が死亡したと伝えました。

現場は山の中で、当時、天候が悪かったということですが、事故の詳しい状況はわかっていません。

ライシ大統領は19日、近くで行われたダムの完成を記念する式典に出席していました。

保守強硬派として知られるライシ大統領は、3年前の選挙で当選して以来、内政面では政権に対する抗議デモを厳しく取り締まるなど、引き締めを強めました。

また、外交面では欧米と鋭く対立し、パレスチナのイスラム組織、ハマスをはじめ反イスラエルの武装組織を支援してきたほか、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアとの協力関係を深めていただけに、今後、こうした地域情勢に影響が出る可能性もあります。

《ライシ大統領とは》

ライシ大統領は63歳。

イラン北東部のマシュハド出身のイスラム法学者で、イスラム体制の維持で重要な役割を果たす司法府で検事総長などの要職を歴任し、司法府の代表も務めたあと、2021年6月の選挙で大統領に選出されました。

保守強硬派の指導者として知られ、現在85歳のイランの最高指導者、ハメネイ師の有力な後継候補の1人とされてきました。

おととし、イランでスカーフのかぶり方をめぐり逮捕された女性が死亡し、大規模なデモが各地に広がった際には「治安を乱すことは許されない」として、取り締まりを強化しました。

また、外交面では反欧米の強硬路線をとり、とりわけ緊張が続くガザ情勢をめぐってはイスラム組織ハマスを支持し、イスラエルやイスラエルを擁護するアメリカと敵対する姿勢を強めていました。

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