台湾で20日、民進党の頼清徳(ライチントー)主席(64)が総統に就任した。同日に台北市内で行う就任演説で、中国との関係や内政について新政権の基本方針を示す。頼氏は8年続いた民進党の蔡英文(ツァイインウェン)政権の路線継承を掲げているが、中国の習近平(シーチンピン)政権から「独立派」と警戒されており、演説内容が注目されている。
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1996年に台湾で直接選挙による総統選が導入された後、同じ政党が3期続けて政権を担うのは初めて。
政権関係者によると、頼氏は演説で対中関係について「卑下することも、おごることもなく、現状を維持する」と述べ、「両岸(中台)がともに平和と共栄を追求する」と訴える見通しだ。日米など民主主義陣営との協力を強化する方針も打ち出すという。
中国は台湾に対し、交流の前提条件として「92年コンセンサス(共通認識)」の受け入れを求めている。92年に中台の交流窓口機関同士が行った会談で、中台がともに一つの中国に属することを確認したと中国側は主張している。
蔡氏は8年前の就任演説で「92年コンセンサス」という言葉を使わない一方で、92年の会談を「歴史の事実で、尊重する」と述べた。また、中国本土も領土に含むことを前提とする台湾の中華民国憲法や両岸人民関係条例に触れたことから、「中台は一つの中国に属する」と主張する中国側に一定の配慮を示したとみられている。
蔡氏はその後も中国を挑発せず、対中関係の「現状維持」を図ってきた。蔡氏の路線を継承するという頼氏が、どのような表現で自身の方針を打ち出すのか、内外が注視している。(台北=金順姫)
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