【カイロ=時事】イスラエルのガラント国防相は16日の声明で、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファでの地上作戦に関し、「活動を強化する」と表明し、部隊を追加投入する方針を示した。民間人の犠牲を懸念する米国などが自制を求める中、ラファでの作戦が拡大する恐れがある。
イスラム組織ハマスとの交戦を続けるイスラエル軍は、ラファで既に「限定的」作戦を行い、戦闘地域を広げているもようだ。ガラント氏は15日にラファの作戦状況を確認し、多くのハマスの地下トンネルを破壊したと主張。ハマスは消耗しているとの見方を示した。
イスラエル軍はガザ北部でも攻撃を強化。軍は15日、ラファや北部ジャバリヤで武装勢力の戦闘員を殺害し、軍用機が武器庫など約80カ所の標的を破壊したと発表した。軍は16日、ジャバリヤで15日に誤射があり、兵士5人が死亡したと明かした。
一方、戦闘終結後のガザ統治を巡り、ハマス最高指導者ハニヤ氏は15日、「ハマスの活動は浸透している。ガザの戦後統治を決めるのはハマスと、すべてのパレスチナ各勢力だ」と強調し、ガザの支配に関与し続ける姿勢を明確にした。AFP通信がテレビ演説の内容を報じた。
イスラエルが軍事作戦を継続する中、ハマス壊滅は不可能だと主張する狙いもあるとみられる。また、戦闘休止に向けた交渉について、イスラエルがラファ検問所を制圧するなど攻撃を強化したことで、交渉の行方が不透明になったと語った。
イスラエルは戦後処理にハマスを参画させることを拒否している。ネタニヤフ首相は15日、「ガザにわれわれの脅威となるものがない状態を実現するために、ハマスの殲滅(せんめつ)は欠かせない」と述べた。
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