【ワシントン=芦塚智子】バイデン米大統領は16日、機密文書の持ち出し問題を捜査したハー特別検察官による聴取の録音テープについて、大統領行政特権を主張して公開を拒否した。ホワイトハウスが連邦議会下院共和党に通告した。ハー氏は聴取の際にバイデン氏の記憶があいまいだったと指摘しており、バイデン氏は11月の大統領選への影響を懸念したとみられる。
シスケル大統領法律顧問は下院監視・説明責任委員会のコマー委員長(共和)と司法委員会のジョーダン委員長(同)に送った書簡で、録音テープのような記録を公開すれば、今後の捜査で証人が協力に消極的になるリスクがあると指摘した。
両委員会は司法省に録音テープの公開を要求していた。ガーランド司法長官がバイデン氏に大統領行政特権を主張するよう求めたという。
シスケル氏は、バイデン氏がハー氏の捜査に全面的に協力し、報告書や聴取記録の公開も認めたと強調。下院共和の目的は「録音を切り刻み、ゆがめ、党派的な政治目的に利用すること」である可能性が高いと非難した。
ハー氏は、バイデン氏の個人事務所や私邸から機密文書が見つかった問題を捜査し、2月にバイデン氏を刑事訴追しないと結論づけた報告書を発表した。
ハー氏は報告書で聴取の際にバイデン氏の記憶が「著しく乏しかった」とし、バイデン氏は自分が副大統領だった時期や、長男のボー氏が亡くなった年を思い出せなかったと記述した。訴追しない理由の一つとしてバイデン氏が裁判で「記憶力が悪い善意の年配者」を演出する可能性を挙げた。
大統領選でバイデン氏と再対決するトランプ前大統領の陣営は声明で「いかさまジョー・バイデンとその貧弱な政権は、大統領行政特権を政敵には否定し、いかさまジョーを政治的にかばうためには積極的に利用しようとしている」と批判した。
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