ニューヨークのウォール街=ロイター

【NQNニューヨーク=戸部実華】14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は一進一退で始まり、午前9時35分現在は前日比21ドル28セント高の3万9452ドル79セントで推移している。景気敏感株の一角が買われ、指数を支えている。半面、朝方発表の4月の米卸売物価指数(PPI)は市場予想以上に上昇し、米国の利下げ転換が遅れるとの見方は相場の重荷となっている。ダウ平均は小幅安となる場面がある。

PPIの上昇率は前月比0.5%と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.3%)を上回った。市場では「米連邦準備理事会(FRB)が懸念しているディスインフレーション(インフレ鈍化)の停滞を示し、高金利政策を長く維持する必要がある」(LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏)との受け止めがあった。

一方、PPIの3月分は0.2%上昇から0.1%下落に下方修正された。15日には4月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控える。「FRBはPPIよりもCPIや個人消費支出(PCE)物価指数をより重視する」(サンタンデールのスティーブン・スタンレー氏)との見方から、CPIを確認したい雰囲気も強い。14日午前10時からはパウエルFRB議長が金融イベントの討議に参加する予定で、内容を見極めたい市場関係者も多い。

PPIの発表直後に米長期金利は4.5%台前半と前日終値(4.48%)を上回ったものの、その後は前日終値を下回る場面もあり、株買いを支えている。ダウ平均の構成銘柄ではないが、ゲーム専門店のゲームストップが連日で急騰している。2021年に同社株の急騰劇の火付け役となった人物がX(旧ツイッター)への投稿を再開し、個人投資家による買いが続いているとみられている。ミーム株(はやりの株)と呼ばれた他の銘柄にも買いが入っている。

個別銘柄では、ボーイングやスリーエム、キャタピラーなど景気敏感株が買われている。ナイキやホーム・デポも上昇している。ハイテク株はまちまちでアップルが買われている半面、アマゾン・ドット・コムとマイクロソフトは下げている。ビザやウォルマートも安い。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も一進一退で始まった。

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