【ニューヨーク=竹内弘文】13日の米株式市場で、米ゲーム販売のゲームストップの株価が一時前日比2.2倍の38ドル20セントまで急騰した。2021年に同銘柄の急騰劇の火付け役となった人物がX(旧ツイッター)への投稿を再開し、思惑が再燃。個人マネーが再び殺到した。ミーム株(はやり株)と呼ばれる他の銘柄も上昇した。
ゲームストップ株は米東部時間の午前10時すぎ、1年9カ月ぶりとなる高値を付けた。その後は上げ幅をやや縮小し、前日比74%高の30ドル45セントで引けた。
株式投資家キース・ギル氏による、約3年ぶりのX投稿が材料となった。「ロアリング・キティ(雄たけびを上げる子猫)」のユーザーネームで知られるギル氏は12日夜に、前のめりになってテレビゲームに集中する男性のイラストを投稿した。
ギル氏は21年1月当時、米ネット掲示板レディットを舞台に、ヘッジファンドの空売りにさらされていたゲームストップ株を「買い推奨」した人物だ。個人マネーの流入でファンドは買い戻しを余儀なくされ、同銘柄の株価は跳ね上がった。
ギル氏は今回投稿したイラストに文言を添えなかったが、活動再開を示唆する内容だけに関心を集めた。「いいね」ボタンは約10万回押されたほか、表示回数は約2000万回に及んだ。株価の急変動を受けて、ゲームストップが上場するニューヨーク証券取引所は13日に同銘柄の取引を断続的に中断した。
ゲームストップ以外にも、ミーム株と呼ばれる銘柄群に連想買いが及んだ。米映画館運営のAMCエンターテインメント・ホールディングスは13日に78%高となり、レディット株は9%高、スマートフォン専業証券ロビンフット・マーケッツ株も4%高となった。
ミーム株の復活は市場環境の好転と無縁でない。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測や底堅い米経済などを背景に、主要な株価指数のダウ工業株30種平均は3月末に付けた史上最高値に再び迫る水準に回復してきた。
ただ、ミーム株のなかには財務基盤が弱い銘柄も少なくない。短期的な値ざや狙いで殺到したマネーはすぐに売りに転じる可能性も高い。目先は荒い値動きが続きそうだ。
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