NGOの「ピースボート」は、2008年から被爆者らと船で世界各地をめぐり被爆体験の証言や核兵器廃絶を訴える活動を続けていて、今回は3人の被爆者のほかに、ロシアによる軍事侵攻で日本へ避難してきた人を含めた10代や20代のウクライナの若者7人が初めて参加しました。
出航前の記者会見で6歳の時に広島で被爆した田中稔子さんは、「今、核兵器が使われるんじゃないかという危機感が高まっている。核兵器が使われると世界がどうなるか、特に若い人に自分事として考えてもらいたい」と訴えました。
おととし9月から日本に避難しているソフィア・デミデンコさんは、「私たちが経験したことをほかの国の人にさせないよう訴えたい。一緒に活動する被爆者の方々とはそれぞれが経験した20世紀と21世紀の戦争の共通点と違いを共有し、どうやって戦争を防げるのかを考えていきたい」と話していました。
また、船上で開かれたセレモニーでは、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳代表委員が「核兵器禁止条約を核保有国の指導者に守らせることが今ほど求められている時はない。ほかの被爆者とともに精いっぱい訴えてきたい」と意気込みを述べました。
船は3か月余りにわたって世界18か国をめぐり、7月下旬に横浜港に帰港する予定です。
広島と長崎の被爆者 会見での発言は
今回、船旅に出る1人で6歳の時に広島で被爆した田中稔子さんは、出航を前にした記者会見の中で「核兵器は、およそ80年にわたって戦争で使われてこなかったが、今本当に使われるのではないかという危機感が高まっている。被爆者として核兵器の恐ろしさを愚直に訴えていきたい」と話しました。
そのうえで、「核兵器が使われると世界がどうなるか、特に若い人に自分事として考えてもらいたい。それが私たちの責任で、核兵器をなくすよう少しでも役目が果たせれば」と語りました。
また、ウクライナの若者たちと寄港地などで発信することについて、「原爆を体験した者として、ロシアによる核の威嚇を受けているウクライナの人たちと手を取り合って核兵器はだめなんだということを訴えていきたい」と話していました。
1歳の時に長崎で被爆した小川忠義さんは今回、大学生の孫と一緒に参加するということで、「1人でも多くの人に核の恐ろしさを伝え核廃絶を進めるとともに、孫にも自分の活動を見せて継承させていきたい」と話していました。
ウクライナ駐日大使「ウクライナに平和を」
このほか会見にはウクライナのコルスンスキー駐日大使も出席し、「私たちほど平和を望んでいる国民はおらず、『ウクライナに平和を取り戻す』というメッセージを世界の人たちに伝えてほしい」と呼びかけました。
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