【ニューヨーク=共同】国連総会(193カ国)は10日、4月にパレスチナの国連正式加盟を勧告する決議案を否決した安全保障理事会(15カ国)に対し、再検討を求める決議案を143カ国の賛成で採択した。加盟には安保理勧告が必須で、拒否権を持つ米国が反対しているため加盟実現の見通しは立たないが、大多数の国が加盟を支持していることを示した。
パレスチナの国連での地位は投票権のない「オブザーバー国家」。今回の決議には日本や中国などが賛成し、米国、イスラエルなど9カ国が反対、英国やスイスなど25カ国が棄権した。
決議にはパレスチナが総会に議題を提案する権利などを認める項目も盛り込まれた。加盟と異なり安保理勧告は不要のため、国連での権利は拡大する。
加盟を勧告する安保理決議案に拒否権を行使した米国のウッド国連次席大使は総会で「安保理で取り上げても、また同じような結果になるだろう」と述べ、再度の拒否権行使を示唆した。
イスラエルのエルダン国連大使は、安保理での否決を無視した国連憲章違反の手続きだと批判。議場で国連憲章が書かれた紙をシュレッダーで細断し「恥を知れ」と賛成する国を批判した。
採択後、パレスチナのマンスール国連大使は大多数の支持を得た決議を歓迎し、安保理で米国が賛成するよう「圧力をかけていく」と述べた。
米国はパレスチナ自治区ガザの戦闘を巡り、イスラエル支持の基本姿勢を維持している。否決された安保理決議案には日中韓など12カ国が賛成、英国とスイスが棄権した。
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