- OTHERS
- アドベンチャー
- ファンタジー
- 乙女ゲーム
- 恋愛
- 2.5次元
- 女性向け
- イベント
舞台「終遠のヴィルシュ」ゲネプロレポート。絶望の中,シアンとセレスの“てぇてぇ(尊い)”を存分に摂取
ライター:ありみち カメラマン:永山 亘
アイディアファクトリーの女性向けゲームブランド「オトメイト」より発売中の乙女ゲーム「終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation-」(以下,「終遠のヴィルシュ」)を原作とした舞台「終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation- Case. Scien Brofiise」が,2024年12月19日に開幕した。本稿では,19日18:00の初回公演に先駆けて行われた,関係者・マスコミ向けゲネプロ公演のレポートをお届けする。
再現度が高すぎて
まるでゲームのプレイ画面そのもの
本公演は,「終遠のヴィルシュ」の攻略対象キャラクターであるシアン・ブロフィワーズのルート,ストーリーラインを軸に構成されている。
エンディングは2種類。原作のゲームと同様,“絶望エンド”と“救済エンド”が用意されているのだ。
この情報を知ったときに,筆者は「ありがたい」という気持ちと,「そこまでしなくてもいいじゃないですか」という気持ちがせめぎあった状態だった。
※ゲネプロ公演は“絶望エンド”の演目だった
舞台は「終遠のヴィルシュ」の冒頭と同様に,セレスが自刃するシーンから始まった。
そして,オープニングテーマ「リコリスの愛」が流れ始めると,キャスト陣が続々と登場。ゲームのオープニングムービーを彷彿とさせる演出に胸が躍った。
キャスト陣を見て思ったのは,「原作の再現度が高すぎる」ということ。
例えば,シアンの首元にある紋章や,セレスの自信なさげで伏せがちな目線など,衣装や演技でキャラクターたちを正確に再現していた。
まるで,ゲームのプレイ画面をそのまま見ているかのような錯覚に陥るほどだった。
逆に,ゲームでなく舞台だからこそ見られる演出の1つとして,殺陣が挙げられる。
ゲーム本編でも幾度となく描かれている死刑執行人 ブローとの戦いが,目の前で繰り広げられていた。
手に汗握る緊張感と,残虐に,作物をもぎ取るような気軽さで人を蹂躙するブローへの恐怖は,生身の人間が演じる舞台だからこそ得られる感情だろう。
本公演にはプロジェクションマッピングや,スクリーンを使っての演出があった。個人的に,印象に残った部分なのでぜひ紹介したい。
プロジェクションマッピングは,シーンが切り替わる際に映し出す背景を変えることで,シームレスに話が進んでいた。
「終遠のヴィルシュ」は中世風の街並みだけでなく,SFチックな研究所の背景も必要なので,そのたびにセットを組んでいたらかなり大変だろう。
とくに,セレスの回想で火事のシーンが映し出されたプロジェクションマッピングが印象的だった。
ステージが炎の海にのまれ,映像だと分かっていても思わずそわそわしてしまったほどだ。
スクリーンを使った演出もお気に入りがたくさんあるのだが,ここでは2つご紹介したい。
1つは,視覚的に情報の補助をしてくれる演出だ。
例えば,「アルペシェールという国は円形の島国であり,区画は3つ。研究区セルネヴォルを中心に,富裕区シュディ,庶民区クーネと円状に広がっている」と,音声だけで説明されたらどうだろうか。
「丸い島」ということは理解できても,区画の名前までは覚えられない人がほとんどのように思う。
しかし,このように絵図付きで説明してくれたら,音声だけの説明よりずっと記憶に残りやすいだろう。
ゲームで描かれる複雑な設定を,端的に分かりやすくしてくれるスクリーンの演出にはかなり助けられた。
おかげで情報が右から左へ流れず,「そういえばそんな設定だったな」と原作の流れを思い出せた。
そしてもう1つは,マティスによるデスドラ……いや,運転シーンの演出だ。
スクリーンに車を映し出して,スクリーンの裏側に演者が移動する。客席からは,どこからどう見ても車を運転するシーンだった。本物の車はないのだが。
さて,今さらながら,本公演のタイトルについて触れておこう。
「終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation- Case. Scien Brofiise」は冒頭でも書いたとおり,プレイヤーがシアンのルートに進んだ場合の物語を軸としている。
つまり,見られるのだ。シアンとセレスのイチャイチャが。
筆者はこのレポートのため,公演を楽しみながらノートにメモを取っていたのだが,公演後に見返したら「てぇてぇ(尊い)」の文字で埋め尽くされていた(もうちょっとタメになる情報を残しておいてほしい)。
目頭が熱くなったり,胸がキリキリしたり,原作のシーンの数々が脳裏に蘇ると同時に,目の前で2人がイチャイチャしているので,かなりの満足感だった。
シアンのルートが好きな人には,ぜひ本公演を見てもらいたい。
絶望か救済かはお好みで
筆者がゲーム版「終遠のヴィルシュ」をプレイしたのは,約2年前。
断片的にエピソードを覚えている状態での観覧で大丈夫だろうか,と不安もあったが,脚本がかなり分かりやすく整理されていたため,過去のゲームプレイを思い出しながら楽しめた。
本作は,いくつもの謎が複雑に絡み合った作品だ。上演時間が約3時間と長めとはいえ,あの膨大なシナリオをここまできれいにまとめられるのか,と感動した。
そして,舞台では「終遠のヴィルシュ」の核心的な謎については触れずに終わる。
そのため,原作未プレイの舞台好きな友人と一緒に観劇して,「あの謎って結局解明されてないよね?」と疑問を抱かせ,原作のゲームを勧めるという布教もできてしまうかもしれない。
どうかその場合は,“絶望エンド”の公演か,“救済エンド”の公演かは慎重に選ぼう。
もちろん両方でもかまわない。筆者は“絶望エンド”を見て,“救済エンド”の公演も見たくなった。かなり切実に。
舞台「終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation- Case. Scien Brofiise」公演概要
◆開催期間
2024年12月19日(木)〜29日(日)
絶望エンド/救済エンド
◆開催場所
シアターサンモール(新宿)
◆出演者(敬称略)
シアン・ブロフィワーズ役:北出流星
セレス役:太田夢莉
イヴ役:北村健人
リュカ・プルースト役:佐野真白
マティス・クロード役:永島龍之介
アドルフ役:高本 学
アンクゥ役:林 光哲
サロメ役:石井陽菜
ヒューゴ役:中田凌多
ダハト役:古賀 瑠
橋本征弥 小泉 丞 久保 春
大塚優希 竜崎新大
(C)2021 IDEA FACTORY
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。