メガネのように気軽に着用して,目の前に広がる映像を楽しむ「AR/スマートグラス」(サングラス型ディスプレイ)。登場当初は,ガジェットファン向けのマニアックな機器というイメージもあったが,今では複数のメーカーが市場に参入して,さまざまな製品が登場している。
 AR/スマートグラスは,その名のとおりサングラス型の本体に組み込んだ小型ディスプレイに映像を表示することで,目の前の大画面を独り占めできるというアイテムだ。映像を表示しながらでも,グラスを通して周囲の光景が見えるし,逆に遮光フードなどを使えば,周囲の光景を遮断して映像に没入することもできる。ディスプレイやテレビとは別に,ゲームやビデオ映像を楽しめる機器として,人気が高まりつつある。

 そんなAR/スマートグラス市場の中で,最も大きな地位を占めているのがXREALだ。

XREAL Air/Air 2シリーズの使用イメージ

XREAL Air 2シリーズの上位モデル「XREAL Air 2 Pro」を首像に装着した様子

東京ゲームショウ2023でのXREALブースの様子
 2019年に登場した初代製品の「XREAL Light」(旧称:Nreal Light)を皮切りに,2022年発売の「XREAL Air」(旧称:Nreal Air)で大きく飛躍。2023年秋に登場した最新モデル「XREAL Air 2」シリーズは,「東京ゲームショウ2023」にも出展して話題を呼んだ。

 2023年にXREALは世界市場で20万台のAR/スマートグラスを出荷。XREALのAR/スマートグラス市場における世界シェアは,45.2%で断トツの1位にあるそうだ。

XREALの2023年における実績を示したスライド。2020年から2023年にかけて,XREALは35万台以上のAR/スマートグラスを販売した

 日本国内でも,全国各地の家電量販店で体験コーナーを展開しているので,実機を見た,体験したという人もいるだろう。

東京・秋葉原のヨドバシカメラ マルチメディアAkibaで展開しているXREAL Air 2シリーズと周辺機器の体験コーナー

 本稿では,そんなXREAL製AR/スマートグラスと関連周辺機器のラインナップと見どころを紹介しよう。


XREALのAR/スマートグラスを総ざらえ


 まずはXREALのAR/スマートグラスのラインナップを紹介していこう。


■XREAL Air 2

 ラインナップの主力は,2023年に販売が始まったXREAL Air 2シリーズだ。そのベースモデルとなるのが,2023年10月登場の「XREAL Air 2」である。税込の直販価格は5万4980円だ。

XREAL Air 2。「グレー」(上)と「赤」(下)の2色のカラーバリエーションを用意している

 XREAL Air 2は,0.55インチサイズのソニー製マイクロ有機ELパネルを2枚,片眼の上部分にそれぞれ組み込んでいる。ここに表示した映像を,ハーフミラーで目の前に投影する仕組みだ。有機ELパネルの映像解像度は1920×1080ドットで,視野角は46度。最大輝度は500nitと明るく,最大リフレッシュレートは120Hzもあるので,高リフレッシュレートのゲーム映像を滑らかに表示できるのも利点だ。

グラスの上辺部分にマイクロ有機ELパネルが組み込まれており(上),ハーフミラーで目の前に映像を投影する仕組みだ(下)

付属のライトシールドを付けた状態。レンズ類が見えなくなっている
 視界を完全に覆うVRヘッドマウントディスプレイとは異なり,XREAL Air 2は,着用した状態でも正面や周囲が見える。映像を見ながら,周囲置いた物を手に取るのも簡単だ。ただ,映像を表示している部分もレンズの向こうの風景が目に入るのは,没入感に欠けると思うこともあるだろう。そんなときは,付属の遮光カバー「ライトシールド」をグラス本体の前に取り付けると,前方の光景を遮断して映像に没入しやすくなるわけだ。

 なお,普段メガネを使っている人は,XREAL Air 2を使うときにはコンタクトレンズを着用するか,別売りの視度補正用インサートレンズを使う必要がある。XREALでは,視度補正用インサートレンズの作成で銀座のメガネ専門店「JUN GINZA」と提携しているが,それ以外のメガネ販売店でも,インサートレンズを作ることは可能なようだ。

XREAL Air 2にインサートレンズを付けた状態

 話をXREAL Air 2に戻そう。サングラスのテンプル(つる)に当たる部分には,上と下の2方向に小型の指向性スピーカーが組み込まれている。これにより,頭を包み込むような,没入感の高い音声を再生できる仕組みだ。イヤフォンではないので,周囲に多少は音が漏れるものの,指向性スピーカーのおかげで盛大に音漏れするほどではない。

テンプルの上側(左)と下側(下)にある指向性スピーカー

 XREAL Air 2は,映像を出力する機器,たとえばiPhone 15/15 ProシリーズやAndroidスマートフォン,タブレット端末やPCと有線で接続して使うディスプレイだ。映像を出力する機器に映像出力可能(=DisplayPort Alternate Mode対応,以下 DP Alt Mode)なUSB Type-CポートやThunderbolt 4/3ポートがあれば,そこにXREAL Air 2を付属ケーブルで接続する。
 映像出力可能なUSB Type-Cポートがない機器や,HDMI出力端子しか持たないゲーム機,たとえばPlayStation 5やNintendo Switchなどは,後段で説明する周辺機器を使えば接続可能だ。

※Switch本体のUSB Type-CポートにXREAL Air 2を接続しても,映像は表示できない。SwitchドックのHDMI出力を経由する必要がある。



■XREAL Air 2 Pro

 XREAL Air 2シリーズの上位モデル的位置付けにあるのが,「XREAL Air 2 Pro」だ。税込の直販価格は6万1980円である。

XREAL Air 2 Pro。本体カラーはブラックのみ

 XREAL Air 2 Proの外観や基本的な仕様は,XREAL Air 2と変わらない。公称本体重量は,XREAL Air 2が約72gに対して,XREAL Air 2 Proは約75gと,わずかに重くはなっているが,着用して分かるほどの差ではないだろう。

XREAL Air 2 Proのレンズ構造を示した画像
 XREAL Air 2にはない,XREAL Air 2 Proの特徴は,「エレクトロクロミック調光」と称する遮光機能を備えていることだ。
 XREAL Air 2は,前面のレンズから前が透けて見えるので,前面を遮光して映像に没入したければ,付属のライトシールドを使う必要があった。それに対してXREAL Air 2 Proは,前面のレンズに組み込まれた調光機能で光の透過具合を3段階(0/35/100%)から選択できる。これを使えば,ライトシールドを付けなくても,レンズの前を見えなくして映像に没入できるわけだ(※ライトシールドも付属している)。

 それ以外の機能や映像機器との接続方法は,すべてXREAL Air 2と変わらない。たとえば,「あちこちへ持ち歩いて使いたいので,本体と一緒にライトシールドを持っていくのは面倒だな」という人は,XREAL Air 2 Proのほうが手軽に扱えるのではなかろうか。



■XREAL Air 2 Ultra

 「XREAL Air 2 Ultra」は,XREAL Air 2シリーズの最上位モデルではあるものの,位置付けはやや異なる製品だ。
 XREAL Air 2/Air 2 Proは,ゲーマーを含む一般消費者向けの製品であるが,XREAL Air 2 Ultraは,基本的にはこれを使ってARソフトウェアやARサービスを開発したい開発者向けの製品なのだ。とはいえ,もちろん一般消費者もAR/スマートグラスとして利用できる。
 本稿執筆時点では予約受付中で,税込の直販価格は9万9800円だ。

XREAL Air 2 Ultra

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顔の向きとハンドサインでアプリを操作できるサングラス型ディスプレイ「XREAL Air 2 Ultra」を体験してみた

 2024年3月19日,XREALは,東京都内でサングラス型ディスプレイ「XREAL Air 2 Ultra」の体験イベントを実施した。サングラス型ディスプレイに6軸自由度のトラッキング機能を組み合わせた製品だ。本稿では,体験イベントの様子と,XREAL Air 2 Ultraの見どころを紹介しよう。

[2024/03/19 19:24]
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  • 編集部:小西利明

 XREAL Air 2/Air 2 Proは,本体内に3DoF(3軸自由度)のセンサーを内蔵しているので,装着したユーザーの顔の向きを認識できる。後段で触れる周辺機器やXREAL Air 2シリーズ向けソフトウェアは,この機能を利用するものがある。
 一方,XREAL Air 2 Ultraは,内蔵センサーに加えて前面レンズの横に小型カメラ「3D小型環境SLAMセンサー」を備えており,6DoF(6軸自由度)でユーザーの頭の動きや,カメラで捉えられる範囲での手の動きを検出できるのだ。つまり,ゲームパッドやマウスなどを使わなくても,手の動きでアプリケーションを操作したり,周囲の空間に合わせて表示するARアプリケーションを使ったりできるのだ。

XREAL Air 2 Ultraの3D小型環境SLAMセンサー。左右に1つずつある

XREAL Air 2 Ultraがユーザーの手を認識している様子
 XREAL Air 2/Air 2 ProまでのXREAL Airシリーズは,3DoFまでということもあり,ARアプリケーションがなかなか増えないという問題があった。しかし,XREAL Air 2 Ultraは,単に映像を表示するだけでなく,より本格的なARアプリケーションや「空間コンピューティング」を実現するのに必要な機能を手に入れた。そのため,XREALはこの製品を開発者向けに位置付けて,ARアプリケーションやサービスの開発を促したいと考えているわけだ。

XREAL Air 2 Ultraのハンドトラッキングを使ったARアプリ風のデモ。写真左下に見えるユーザーの手を認識して,指し示したアイコンの相手と通話するアプリをイメージしたものだ

 XREALでは,開発者向けのSDK(ソフトウェア開発キット)や情報を提供する特設Webサイトも運営しているので,興味のある人は覗いてみてほしい。

 なお,有機ELパネルの解像度や最大リフレッシュレートは,XREAL Air 2と同じだが,視野角がやや広い52度(XREAL Air 2は46度)になっているなど,6DoF関係以外の機能も少し強化されている。また,XREAL Air 2 Proのエレクトロクロミック調光機能も備えているので,強化版XREAL Air 2 Proとして使うことも可能だ。



■XREAL Air

 最新製品ではないものの,初代の「XREAL Air」もまだまだ現行の製品だ。税込の直販価格は4万9980円であるが,セールが行われたり,周辺機器との割引セットモデルが販売されたりすることも多いので,手が届きやすいのもポイントだ。

XREAL Air。本体カラーはブラックのみ

 マイクロ有機ELパネルをレンズの上側に取り付けて,ハーフミラーで目の前に投影するという構造は,XREAL Airで確立されたものだ。ディスプレイ解像度もXREAL Air 2と同じ1920×1080ドット,最大リフレッシュレート120Hzなので,ゲーム映像や動画を表示するときも解像感に不足はない。
 ただ,ハーフミラーなど光学系の品質は,XREAL Air 2シリーズのほうが優れているほか,公称本体重量は約79gで,XREAL Air 2の約72gよりはわずかに重いといった点が,主な違いである。

 この後で紹介する周辺機器やソフトウェアは,XREAL Airでも使えるので,「安価な製品でAR/スマートグラスを試してみたい」という人にはお勧めだ。



XREAL Air/Air 2シリーズの楽しみを広げる周辺機器


 XREAL Air/Air 2シリーズは,スマートフォンやPCと組み合わせればそれだけでも十分に使えるアイテムだが,純正の周辺機器と組み合わせることで,さらに楽しみを広げられる。
 ここでは,XREAL Air/Air 2シリーズ向けの周辺機器や関連グッズを紹介しよう。

XREAL Air 2 Pro(上)と,本稿で紹介する周辺機器(下)。周辺機器は左から,XREAL Adapter,XREAL Beam,XREAL Hubである


■XREAL Hub

 「XREAL Hub」は,XREAL Air/Air 2シリーズとスマートフォンやSwitch,携帯型ゲームPCなどの間に接続する一種のアダプターだ。税込の直販価格は5980円である。

XREAL Hub

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Switchやスマホを充電しながらサングラス型ディスプレイ「XREAL Air」シリーズを使えるアダプタが登場

 2024年2月26日,Xrealは,サングラス型ディスプレイ「XREAL Air」シリーズ用変換アダプタ「XREAL Hub」を発表した。本製品を間に入れれば,携帯型ゲームPCやSwitch,スマートフォンに充電しながらサングラス型ディスプレイを使えるのが特徴だ。税込価格は5980円となる。

[2024/02/26 20:14]
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  • Nintendo Switch
  • 編集部:千葉大輔

 XREAL Hubは,直付けケーブルのUSB Type-C端子を映像出力機器側に,2つのUSB Type-Cポートが並んだ側に,XREAL Air/Air 2シリーズとUSB ACアダプターを接続して使う。
 通常の場合,スマートフォンやSwitchにXREAL Air/Air 2シリーズを接続すると,機器側を充電できないため,バッテリーを多く消費してしまう。そこでXREAL Hubを間に挟むと,充電器とXREAL Air/Air 2シリーズを同時に機器と接続できるので,充電しながら使えるようになるわけだ。

XREAL Hub経由でXREAL Air 2 ProとSwitchを接続した状態

こちらは,XREAL Hub経由でXREAL Air 2 Proとスマートフォンを接続した状態。充電しながら映像を楽しめる

 Switch側の仕様により,XREAL HubとXREAL Air/Air 2シリーズを接続している状態では,Switch側は「TVモード」状態に切り替わる。そのため,映像はXREAL Air/Air 2シリーズ側だけに表示され,Switch本体の画面には表示されない。また,Joy-Conを使う場合は,Switch本体から外して使う必要がある。
 気にするべき点と言えばその程度。Switch本体の小さい画面という制約から解き放たれ,目の前に広がる広い画面でゲームを楽しめるようになるのは,XREAL Air/Air 2シリーズの大きな魅力だろう。


 電源さえ確保できれば,新幹線の中だろうが,飛行機の中であろうが,どこでも没入感の高い環境でゲームに熱中できるのは,ゲーマーとしては見逃せない。バッテリー残量を気にすることなくスマートフォンやSwitchでXREAL Airシリーズを使いたいなら,必携の周辺機器と言えよう。


■XREAL Adapter

 先に説明したとおり,XREAL Air/Air 2シリーズは,Thunderbolt 4/3またはDP Alt Mode対応USB Type-C経由で映像を出力する機器と接続するものだ。しかし,PS5/4やSwitchは,HDMI端子でしか映像を出力できない。また,デスクトップPCでは,DP Alt Mode対応USB Type-Cを備えている製品はあまりないので,これらの機器は,XREAL Air/Air 2シリーズと直接接続できないのだ。Lightningコネクタしか備えていないiPhoneやiPadも同様である。
 そうした直接接続できない機器でも,XREAL Air/Air 2シリーズを使えるようにする周辺機器が,「XREAL Adapter」である。税込の直販価格は8980円だ。

XREAL Adapter。3つのLEDは,電源オン状態や充電状態を示す

XREAL Air 2 ProとXREAL Adapterを接続した状態
 XREAL Adapterは,XREAL Air/Air 2シリーズに接続するUSB Type-Cポートと,映像機器を接続するHDMI端子を備えた変換アダプターである。アダプター内にはバッテリーも内蔵する。
 なぜ変換アダプターにバッテリーを内蔵しているのかというと,HDMI端子から供給できる電力では,XREAL Air/Air 2シリーズを動かすには足らないからだ。なお,XREAL Adapter自体の充電は,USB Type-Cポートで行うため,XREAL Air/Air 2シリーズを接続した状態では,アダプター側に充電できない。バッテリー駆動時間は最大3時間程度である。

 使い方の例は,次の画像を見ると分かりやすい。簡単に言えば,ゲーム機や映像機器側のHDMI出力とXREAL AdapterのHDMI入力端子をHDMIケーブルで,XREAL Air/Air 2シリーズのUSB Type-Cケーブルを,XREAL AdapterのUSB Type-Cポートに接続するだけだ。

XREAL AdapterとPS5の接続例

XREAL AdapterとSwitchの接続例。先にも述べたが,Switch本体のUSB Type-CポートとXREAL Air/Air 2シリーズを直接接続しても映像は表示できないので,Switchドックを経由する必要がある

 LightningコネクタのiPhoneやiPadを接続する場合,Apple純正のLightning to HDMI変換アダプター「Lightning - Digital AVアダプタ」(別売り)を用意する必要がある。XREAL Adapterにはめ込まれているHDMI入力端子部分「HDMI Connector」を取り外し,そこにLightning - Digital AVアダプタを取り付ける。この状態で,Lightning - Digital AVアダプタ側にiPhone/iPadを,USB Type-C側にはXREAL Air/Air 2シリーズを接続すると,使えるようになる仕組みだ。

XREAL AdapterとLightningコネクタ搭載iPhoneの接続例

 ゲーマーがXREAL Air/Air 2シリーズを使うなら,HDMI出力との接続は事実上必須であろうから,XREAL Adapterは必携の周辺機器と言っていい。



■XREAL Beam

 「XREAL Beam」は,XREAL Air/Air 2シリーズ用の周辺機器としては,かなり多機能なアイテムだ。税込の直販価格は1万6980円である。

XREAL Beam

 XREAL Beamは,手のひらに収まる程度のコンパクトな機器で,内部にAndroid TVベースの機能を備えている。XREAL Air/Air 2シリーズをXREAL Beamに接続すれば,XREAL Beam側にインストールした「Netflix」や「Amazon Primeビデオ」のアプリ,そのほかのビデオ再生アプリなどを楽しめるのだ。
 USB Type-C経由で映像出力機器やSwitch本体をXREAL Beamに接続して,その映像をXREAL Air/Air 2シリーズで見ることも可能だ。

XREAL Air 2 ProとXREAL Beamを接続した状態

 さらにXREAL Beamには,XREAL Air/Air 2シリーズの3DoFセンサーと連携した3種類の「空間表示モード」という面白い機能がある。

  • ボディ アンカー(3DoFモード):映像を空間上の任意の位置に固定表示する。XREAL Air/Air 2シリーズにおける通常の映像表示であれば,顔を動かしてもグラスが目の前にあるので,映像は顔の動きについてくる。しかし,ボディ アンカーで映像を空中に固定すると,顔を動かしても映像はその場に残るようになる。XREAL Air/Air 2シリーズをサブディスプレイ的に使うときに役立つ。
  • スムーズフォロー(ブレ補正モード):映像は頭の動きに合わせて動くが,スムーズフォローを使うと頭の小刻みな動きを無視できるので,たとえば自動車や電車,飛行機に乗った状態でも,乗り物の振動によるブレを軽減できる。乗り物に乗っているときに役立つモードだ。
  • サイドビュー:XREAL Air/Air 2シリーズの映像を視野の四隅に小さく表示して,前方を見やすくするモード。XREAL Beamと映像出力機器をつないでいる状態でしか使えない。


 そのほかにもXREAL Beamは,PCやスマートフォン側に映像をWi-Fi経由でワイヤレス伝送する機能があれば,その機器とXREAL Air/Air 2シリーズをケーブルで接続しなくても,映像と音声を鑑賞できる。完全なワイヤレス運用とはいかないが,映像出力機器とXREAL Beamの間はワイヤレス化できるので,取り回しは楽になる。
 さらに,SwitchとXREAL BeamをDP Alt Mode対応のUSB Type-Cケーブルでつなげれば,SwitchドックやXREAL Adapterを使わなくても,Switchのゲーム映像を表示可能だ。

 周辺機器としてはやや高めの価格だが,XREAL Beamは,XREAL Air/Air 2シリーズの楽しみを広げるのに役立つアイテムだ。


周辺機器ではないが,XREAL Air 2シリーズの前面や側面に貼り付けて彩りを添えるアイテム「XREAL Kaleido Kit」も販売中だ。ネイビー(海軍),緑青,ロイヤルブルー,ペールハナミズキ,ジョンキル,ダートマスグリーンの6色ラインナップで,各色税込1500円である


XREAL Air/Air 2シリーズを楽しむためのソフトウェア


 XREAL Air/Air 2シリーズは,単体でも映像を楽しむAR/スマートグラスとして利用できるが,Androidスマートフォン向けアプリ「Nebula」と組み合わせて使うと,ARアプリケーションを利用できるプラットフォームになるのだ。

Nebulaのフロント画面

 AndroidスマートフォンとXREAL Air/Air 2シリーズを接続して,Nebulaを起動すると,画面に「ARモード」というボタンが現れる。このモードは,XREAL Air/Air 2シリーズおよびXREAL Light用に作られたARアプリケーションを,バーチャル空間上で使うためのものだ。

ARモードのホーム画面を横につなげたイメージ画像。タイルやアイコンがそれぞれアプリケーションになっている

 ARモードでは,スマートフォン本体をリモコンのように使い,レーザーポインターのようなポインターを動かしてアプリケーションを操作する。スクリーンショットや動画を撮ることも可能だ。
 まだアプリケーションの数や種類は少ないが,WebやYouTubeの動画を見たり,写真を表示したり,専用のゲームをプレイしたりできる。今後のアプリケーション拡充に期待したい。

左はARモードの「YouTube」アプリ,右は「写真」アプリの例。空間上にアプリケーションの画面を並べたり,重ねたりして表示できる


 パソコンとXREAL Air/Air 2シリーズを組み合わせて使う「Nebula for Mac」「Nebula for Windows」というアプリケーションもある(※本稿執筆時点ではどちらもβ版)。これらは,スマートフォン向けのNebulaとは違い,XREAL Air/Air 2シリーズを仮想ディスプレイに変えるものだ。

Nebula for Macの使用イメージ。空中に仮想ディスプレイを浮かべて使える

 PC/Mac向けNebulaを使うと,空中にアスペクト比16:9の画面を1〜3枚,あるいはアスペクト比21:9,または32:9のウルトラワイド画面1枚を表示できる。たとえば,複数枚の画面を表示した場合,右を向けば右の画面が,左を向けば左の画面が目に入るという,マルチディスプレイ環境をAR/スマートグラスの中に表現したような環境でPCを扱えるのだ。

Nebula for Windowsの画面。仮想スクリーンのレイアウトやフレームレートを選択して,仮想ディスプレイを作る

仮想の3画面ディスプレイを表示した状態のイメージ。画面同士の隙間の広さや,画面の湾曲率,目から見た仮想距離や拡大率といった細かい要素も調整できる

 リアルなマルチディスプレイのPC環境では使えないという制限があるほか,β版なのでPC環境によっては問題が出ることもある。だが,意外なほど鮮明な仮想画面をXREAL Air/Air 2シリーズの中に表示できるので,安定して使えるようになれば,「XREAL Air/Air 2シリーズがあれば,PCにマルチディスプレイは必要ないな」と思う人もいるのではないだろうか。
 PC/Mac向けNebulaの情報は,XREALのコミュニティサイトで公開になるので,興味ある人は定期的にチェックするといいだろう。



XREAL Air/Air 2シリーズでAR/スマートグラスの世界に飛び込もう


 長くなったが,XREAL Air/Air 2シリーズのラインナップと周辺機器,および主要なアプリケーションをひととおり紹介してみた。AR/スマートグラスは,誰にでもベストマッチなアイテムとまでは言えないが,スマートフォンやPC,ゲーム機といった,ゲーマーにとって身近な機器で使えて,大きな画面の映像を目の前で独り占めできるという,ゲーム用途に適した機器だ。

 また,筆者の知人には,長時間飛行機に乗るときにはXREAL Air/Air 2シリーズを持っていき,機内で映像を楽しむのに使っているという人もいる。見た目が「ちょっとフレームが大きめのサングラス」なので,悪目立ちしにくいのも利点のようだ。筆者の場合,XREAL Air 2の使用時間で一番長いのは,ベッドの上に寝転がり,スマートフォンにつないで動画を見る用途である。どこでも手軽に大画面を楽しめるのは,慣れてみると手放せない便利なものだ。
 本稿で興味を持った人は,XREAL Air/Air 2シリーズの体験コーナーがある店舗に足を運んで,実際に試してみることをお勧めしよう。


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