私は“マルチプレイサーバー”というものをよく分かっていない。

 PCゲームなどでマルチプレイがあれば喜び勇んでプレイするのだが,「このゲームのマルチは自分でサーバー建ててね!」と言われると途端に顔を背け,ソロプレイにいそしむ。そのくらい分かってない。サーバーよりも鯖(青魚)のほうが親しみを覚える。それくらいの知識だ。

 このよく分からなさについては,よく分かってもらえるかと思う。

(C)Pocketpair, Inc.

 だが,そんな知識ナシの人でも,いろんな設定項目をいじって好みのマルチプレイ環境を生み出せるサービスがあるらしい。

 それが「ロリポップ!レンタルサーバー byGMOペパボ」が提供する「ロリポップ! for Gamers」だ。なんでもウリは“誰でも手軽に安価でサーバーを立てられます”だとかで。

 現在は「パルワールド」のマルチプレイが簡単にできるという。




 4Gamer編集部から話を聞いたときは半信半疑だったが,体験レポートの話はとんとん拍子で進み,(いったんは利用登録などをすっ飛ばして)さっそく手順通りにサーバーを建ててみることに。

 まずは「ロリポップ! for Gamers」にログインして――。



 認証メールがきたからリンクURLを踏んで




 そんでサーバーを選んで


「起動中」とある。サーバーが起動してた

 できた……? これで終わりらしい。もうサーバーが建った

 確認のため,パルワールド側のタイトル画面で“専用サーバー”を選び,共有されたIPアドレスを入力してスタートすると。

画面下のIPアドレス欄に入力して,パスワードを入れて……

ちょっとのロード後に入れた。試しにパルの湧き数を10倍にしてみたら,かわいい

 どうやら,本当にこれだけでサーバーが建ったらしい。こんな軽いノリで建てられていいのか心配になるくらいだ。

 念のためだが,先ほどのサーバー開設のスクリーンショット紹介に過不足はない。サーバーを建てるのに必要なのは,真剣(マジ)で3ステップだけであった。たぶんツッパニャンでもできる。

公式ツール“パルワールドマネージャー”を使えば,サーバー設定をスライダー操作だけで直観的に調整できる。めちゃ便利

 事前に「こんな感じでサーバーを建てられますよ」とは説明されていたが,私が持っていた前知識は本当にそれだけだ。サーバーに関する用語などいっさい知らぬまま,クリックしたら建ってた。恐ろしい。恐ろしいほどに「ロリポップ! for Gamers」の手軽さにウソ偽りがない。

 当然,初利用時はお決まりのユーザー登録が求められる。

 けれど,これもめちゃ簡単に済む。


1:アカウント登録用のメールアドレス入力


2:登録アドレスに認証メールが届く


3:アカウント作成が完了。利用申し込みへ

4:「プラン(サーバーメモリ16GB or 32GB)」を選択し,サーバー名などを設定。最後に“購入する”を押せば完了。プランの目安はパルワールドで「16GB:パルワールド必要スペック」「32GB:パルワールド推奨スペック」。

購入したサーバーはこんな感じでホーム画面に並ぶ。これだけ。レジェンドスフィアをプレイヤーだけで作るよりも早い


 以上である。あとは前述のとおり,サーバー選択から3ステップでマルチプレイを楽しめてしまう。なんなら「パルワールド」をダウンロードする間にすべて終わっていて,逆にDLを急かしたくなる速さだ。

一応「パルワールド」では個人でサーバーを建てることもでき,公式How Toもある。ただ,事前知識がないままやろうとすると,ちょっとハードルを感じる類い


マルチプレイ実践編。はたしてラグは?


「え〜? でも〜,そんなに手軽なら〜,もしかして〜,サーバーの質とか大したことないんじゃな〜い?」

 なんて声もあるかもしれない。というか私も疑っていた。簡単に建てられる代わりにラグまみれだったり,プレイヤーやパルが大量にいるとどうしようもなかったり,ゲーム側のいきなりアップデートを適応させるのに無駄に時間かかったり……などなど懸念は多かった。

 これらを検証するため,今回は「ロリポップ! byGMOペパボ」と4Gamer編集部に協力してもらい,実際に「ロリポップ! for Gamers」を利用して“パルワールドの多人数マルチプレイ”を遊んでみることに。

サーバーの負荷を試すため,12人の有志が集まった

 ここからはマルチプレイの所感についてレポートしていくが……まずは少しでも疑ったことを謝っておこう。

 サーバー,かけらもラグくなかったです。

 12人マルチプレイを開始しても,フィールド上のパルたちはスムーズに忙しなく働き続ける。プレイヤー人数以外にもいろいろな負荷がかかっているはずだが,ラグらしいラグはいっさい感じない。少なくとも12人ほどの規模感ならなにも問題なく遊べてしまった。

 さて,せっかく人数が集まったのに,ただのワチャワチャしているだけというのも少し寂しい。というわけで負荷テストの一環として,ヨワヨワPCだとソロでもガクガクしかねない最序盤のテスターくん。

 大型ボスパル“グランモス”にみんなで押し寄せてみることに。

お相手は,なぜか初期リスポーンの近くにいることで有名なでっけーゾウ。多くの初心者パルテイマーたちの住居をなぎ倒し,みんなの愛憎を集めてきた(ゾウだけに)

 今回の面々は「とりま,この新しいサーバーに入ってよ」と言われて,ワールドに生まれたばかりの人たちだ。
 抜け駆けして最序盤のパルを捕まえた人もいるが,基本は全員ちょっとした服と弓を装備しただけのハイパー原始人スタイルである。

 でも,考えてみてほしい。昔の人だって1匹のマンモスに対して,人海戦術で槍やらなんやらをぶん投げて討伐していたというのだ。なによりこちらは12人もいる。やってやれないはずはない。

 たかが1匹のゾウ,恐るるに足らず! 武器を扱う霊長類の恐ろしさ,パルワールドの世界でもその身を持って味わうがよい!

そう,たかが1匹のゾウに,いっぴきの……あれぇ?

 意気揚々と現場に向かうと,そこにはなんとグランモスが3匹。グランモス3兄弟が優雅にお散歩していた

 しかも血気盛んな原始人の1人が「ニク! ニク!」と弓を射る。このおバカ。ツッパニャンよりも動物的なその行いにより現場は大混乱。事態に阿鼻叫喚。地獄絵図が生まれた。

 よくよく調べると,このサーバーはパルワールドマネージャーを使い,パルの湧き数を3倍に設定してしまっていた。おかげでグランモスも3倍だった。神の御業の手軽さで,霊長の座に大きなヒビが入った。


 もはやどうしようもない状況で,ある者はいくつも壊された拠点の恨みを晴らすべく,ある者は葬られたパルたちの無念を晴らすべく,ある者は記事の取れ高のために一心不乱に巨像へと向かっていく。

 結果は,語るまでもなく死屍累々となる。私は命惜しさに少し遠めの場所まで逃げていたが,3倍の頻度で飛んでくるグランモス弾で視界の半分が緑色の台風に占拠されていた。どないせいっちゅうねん。

調整機能の便利さが,我々に牙をむくことになろうとは――

 グランモス討伐チャレンジはあえなく失敗に終わったが,これもまたマルチプレイサーバーらしい出来事であった。通常のプレイ環境ではなかなか味わえない,サーバー利用者ならではの特権である。

 実際に10人以上の規模でマルチプレイをするとなると,パルの湧き数などを調整する必要は必ず出てくる。またデスペナルティをなくすことや,経験値増加率に捕獲確率,昼夜の変化速度を変えるなども,パルワールドマネージャーを使えば感覚と気分だけで適用できる。

 例えば「忙しい知人に爆速でパルワールドを体験してもらう」「強敵複数体の激烈環境でサバイバル」など,友だちとわいわいマルチプレイするための用途は無限大だ。キョダイタマゴの孵化時間をいじれば特性厳選も爆速になるなど,ソロでも活用法がある。

ミルフィーもいっぱい。これも3倍の恩恵。かわいい。パルを増やせばそのぶんサーバー負荷はかかるが,3倍程度ならFPSが少し落ちる程度。(PC環境も影響するだろうが)そこまでラグらしいものは感じない


一緒に遊んで気付いた,運営の距離の近さ


 今回の撮影では「ロリポップ! for Gamers」開発チームにも協力してもらっていた。せっかくだからと,「パルワールドマネージャーの一部数値がちょっと分かりにくい部分あるかも」「サーバーデータを丸ごと保存する機能がほしい」といった要望も投げかけてみた。

 すると,かなり真摯に取り合ってもらえた。

 そもそも同サービスは「公式Discordサーバー」を運用しており,ユーザーと日々“欲しい機能の要望”などを話し合っているのだとか。

参加リンクは公式サイトの一番下に

 こちらのDiscord,取材のためにと参加していくつかログを読ませてもらったが,開発側のレスポンスがとても早い。

 問題が発生したユーザーに対しては,すぐに解決策を模索して提示したり,ユーザーの提案を受け止めて改善に努めようとしていたりと,“距離の近さ”を感じられるコミュニティになっていた。

 率直な疑問を積極的に聞いてもらえたのも,こうした場がしっかりと機能しており,運営側に「もっと良くしていきたい!」といった気概があるからに違いない。などとベタ褒めする程度にきちんとしていた。

「今後対応予定のゲーム」のアンケートも。雰囲気が和気あいあいとしていました

 Discordサーバーは誰でも参加可能で,利用者同士の交流の場にもなっている。サービス自体は疑問の余地もはさめないくらいお手軽に使えるとはいえ,サーバーを活用するうえでの特有の課題が出てこないとも限らない。もし自分では解決できない何かにぶつかったとき,すぐさま相談できる場所があるというのは,精神的にありがたい。


簡単すぎるマルチ専用サーバー
「ロリポップ! for Gamers」はめちゃ使いやすい


 「ロリポップ! for Gamers」で,サーバー開設からマルチプレイまでやらせてもらった感想をざっくり要約すると,

・利用登録がめっちゃ楽!
・サーバー建てはそれ以上に楽!
・12人くらいならラグや重さもナシ!
・設定いじりがスライダーだから簡単!
・運営と距離が近くて意見を届けやすい!


 といったものだった。サーバーに関する知識がなくとも,簡単にサーバーを運用できてしまう。その売り文句に相違はなかった。

 私はパルワールドをそれなりに遊んできたので,正直「いくつか気になる部分とか出てくるだろうな」と考えていた。だが,むしろその逆だ。手間を感じなさすぎる快適さに骨抜きにされ,このサーバーの利用価値を存分に理解してしまった。すっかり懐柔されたレベルである。

バージョンアップとか,サーバーの一時停止もワンボタン。らくちんなんです

 「ロリポップ! for Gamers」は現在,4月リリースを記念し,“2024年5月27日までの申し込みで,一定期間利用料金0円で利用”できる無料キャンペーンを実施中だ。16GB/32GBプランともに無料である。

※無料キャンペーン以降の基本料金は,16GBプランが月額4300円。32GBプランが月額1万1000円。ともに税込価格

 つまりは大型連休にモロ被り。パルワールド自体,レイドボスの追加アップデートなどで発売後の本格展開が始まってきた時期なので,この機会に遊んでみる,あるいは再開してみるのもいいだろう。

 最後に展望として,「ロリポップ! for Gamers」はパルワールド以外のタイトルでも運用が予定されている。Discord内のアンケートでは,「Ark: Survival Evolved」がかなりの票を集めていた。
 もし「マイクラでも使いたい!」などと希望がある人は,公式Discordサーバーで提案してみるといいだろう。

 こちらはサブスクリプションサービスとしても「いつでもポチッと契約内容の変更・見直しができる作り」だ。
 その気軽さが現代のサブスク市場において,いかに親近感を覚えられる作りであるか。説明は不要だろう。今後のゲーム人生に,気楽に付き合えるサーバーを添える。試すなら今だ。


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