富士通は肺がんのタイプ分けや乳がん患者の生存期間予測といった用途で活用を見込めるAIを開発した

富士通は9日、文章や画像など異なる形式のデータを自動的に組み合わせて推論する人工知能(AI)を開発したと発表した。複数の形式のデータを使って推論するAIはあったが、自動で統合できるものは珍しいという。肺がんの種類分けや乳がん患者の生存期間予測といった医療分野での活用を見込む。

AIで推論する際には膨大なデータを整理するため、まず形式ごとにグラフを作成し、そのグラフを統合する作業が必要だった。富士通のAIを使えばこの作業を自動化できるため、より膨大なデータを効率的に扱える。

まずは医療分野での活用を見込む。例えば肺がんの種類分けでは、ゲノム(全遺伝情報)なども組み合わせることで判断精度を高められる。AIによる肺がんの種類分けの精度は87.1%が最高とされてきたが、富士通のAIは92.1%を達成した。

肺がんには「腺がん」や「扁平(へんぺい)上皮がん」などがあり、種類ごとに治療法が確立されつつある。適切な治療をするには種類分けを正確に行うことが重要だが、これまで医師による目視に頼っていた。

富士通は今回開発したAIを、同社のサイトで24年度中に公開する予定だ。企業や研究機関の利用を促して実用化を目指す。医療分野だけでなく、データセンターの障害予測や詐欺検知といった領域での活用も視野に入れる。

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