全日本空輸(ANA)は9日、軽油に代わるバイオ燃料を空港内の特殊車両で使う実証実験を羽田空港(東京・大田)で始めた。二酸化炭素(CO2)の排出量を実質的にゼロとみなせる燃料の本格利用に向けた供給面や制度上の課題を洗い出す。航空業界の脱炭素化はハードルが高く、まずは地上車両から取り組みを進める。
ANAが用いるバイオ燃料は「リニューアブルディーゼル(RD)」と呼び、廃食油などを原料に精製する。バイオ燃料の中でもメタノールを反応に使う脂肪酸メチルエステル(FAME)と異なり水素を利用する。フィンランドのエネルギー企業、ネステ社が精製したRDを伊藤忠エネクスが調達してANAに供給する。
ANAは2025年3月ごろまで、羽田空港の飛行機をけん引する車両や手荷物を積み下ろしする車両など計26台でRDを使う。期間内に200キロリットルのRDを使用する予定だ。
RDの燃料時にはCO2が発生するが、食用油の原料となる植物が成長する過程でCO2を吸収するため、実質的にCO2排出をゼロと見なせる。廃食油の回収やRDの精製、輸送や消費までを考慮しても軽油と比べてCO2排出量が70〜90%減るという。一方でコストは軽油の3〜4倍と高い。
ANAは30年度までに航空機以外の分野でのCO2排出量を19年度比で33%以上減らす方針だ。50年度にはCO2排出量の99%を占める航空機も含めて全社で排出量を実質ゼロにする方針だ。
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