伊藤忠商事が8日発表した、昨年度1年間のグループ全体の決算は、最終的な利益が8017億円と前の年度より0.2%増えて、これまでで2番目に高い水準となりました。

これは、海外に自動車を輸出して販売する事業や、アメリカでの再生可能エネルギーによる電力の販売事業などが好調で、コンビニ事業もインバウンド需要で客数や客単価が伸びたということです。

さらに、円安が進んだことで、最終的な利益が全体でおよそ300億円押し上げられました。

会社では、今年度1年間の計画で1兆円を上限とした国内外への投資を掲げていて、石井敬太社長は記者会見で「円ベースだと海外への投資のハードルは高くなるかもしれないが、為替がどうであろうと成長戦略を遂行していく」と述べ、円安が進む中でも投資への姿勢は変えない考えを示しました。

大手商社の昨年度1年間の決算は8日で出そろい、円安の追い風もあって最終的な利益は▽三井物産が1兆636億円、▽三菱商事が9640億円でいずれも前の年度に次ぐ高い水準となるなど、各社とも引き続き好調な業績となっています。

企業の好調な決算相次ぐ

東京証券取引所では、上場企業の昨年度1年間の決算発表が本格化しています。
商品などの価格転嫁が進んでいることや、円安の進行を受けて、好調な決算が相次いでいます。

SMBC日興証券は旧東証1部に上場していた3月期決算の企業を中心に、今月2日までに発表を終えた235社の決算を分析しました。

それによりますと、
▽売上高の合計は142兆6609億円で前の年度より1.7%増え、
▽最終利益の合計は14兆1207億円と、前の年度より18.9%の大幅な増加となりました。

業種別で見た最終利益の合計は、
▽インバウンド需要を取り込んだ「空運業」が前の年度の2倍に、
▽自動車などの「輸送用機器」が62.3%、
▽「建設業」が56.4%、それぞれ増えました。

コロナ禍からの経済の回復が世界的に進んでいることや、物価の上昇を受けて、企業の間で価格転嫁の動きが広がっていること、円安の進行が輸出関連の企業の利益を押し上げたことなどが要因で、最終利益は3年連続で過去最高を更新する見込みだということです。

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