各社はトラックの大型化や共同配送の導入で輸送効率を高めている

帝国データバンクが発表した物流業の景況リポートによると、2024年4〜8月の貨物営業用自動車の輸送量は、前年同期比2%増の10億5000万トンだった。トラック運転手の残業は4月から年960時間に制限された。担い手が不足する「2024年問題」の懸念が高まる中、車両の大型化や共同配送で従来の輸送力を維持しているとみられる。

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ヤマト運輸や佐川急便など宅配大手3社の取扱個数も19億2000万個と同1.3%伸びた。厚生労働省の調査では、道路貨物運送業の所定外労働が1〜9月の月平均で約27時間と前年比で1時間以上減り、直近10年間で最も低い水準だった。4月に始まった残業規制で運転時間が減る中でも、前年並みの輸送量を維持している。

帝国データは「深刻な人手不足を受け、各社が輸送効率の向上に取り組んだことが分かる結果だ」と分析する。車両を大型化して一度に運べる量を増やしたり、複数の荷主による共同配送で積載率を高めたりする取り組みが一定の効果を上げたとみる。

半面、企業の景況感を示すトラック輸送事業者の景気DI(業況判断指数)は11月時点で44.1と、全産業(44.4)を下回った。50を下回ると業況が「悪い」とされる。

帝国データは「燃料費の高止まりや深刻な人手不足など業界を取り巻く環境は依然として厳しい」としたうえで、業況改善には「さらなる輸送の効率化や自動化などを推進し、安定的な物流機能の確保に取り組む必要がある」と結論づけている。

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