鹿島は24日、愛知県岡崎市内の工業団地の造成にプログラムによる重機の自動運転と遠隔通信を組み合わせた「自動施工」を導入したと発表した。運んできた土砂を自動で締め固める無人の重機2台を離れた場所から1人で運用する。ダム向けの技術を複雑な形状の土地に対応させた。宅地から滑走路の整備まで幅広い工事で人手不足の緩和につなげる。
造成は山や谷など元の土地の形を変えるために土を掘って運搬し、締め固める。広い土地では振動ローラーと呼ぶ重機を複数台用意して長時間走らせる必要があり、人手がかかる。従来の自動施工システムはダムなど四角い形状の土地で材料を水平に締め固めていく作業にしか対応していなかった。
今回改良したシステムは造成エリアの図面データを入力すれば、土地の形状に合わせて振動ローラーの最適な走行経路を自動で算出する。障害物がある場所など作業をしないエリアを指定すれば、ルートから外す。土地が傾いていても重機が真っすぐ走れるように、自動運転のプログラムに走行地点の傾きを反映させる。
自動施工を使えば「人によってばらつきがあった作業時間や品質を標準化できるため、工事の計画も最適化しやすくなる」(鹿島の担当者)。振動ローラーが無人なので安全性も高まり、夜間も運用しやすくなる。今後同時に運用する重機を増やすとともに対応機種を増やす。
岡崎市の現場では車に通信機器やディスプレーを搭載した移動式の管制室も用意した。技術者が現場と事務所を行き来する手間を減らし、働きやすくする。
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