次期エネルギー基本計画の原案の要旨は次の通り。

【はじめに】

全ての国民が希望を持って暮らせる社会を実現するためにはエネルギー安定供給、経済成長、脱炭素を同時に実現していく必要がある。

【東京電力福島第1原発事故後の歩み】

・事故の経験、反省と教訓を肝に銘じてエネルギー政策を進めていくことが原点。

・原子力を活用し続ける上では安全性の確保を最優先。

【状況変化】

・ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化などを受け、エネルギー安全保障の要請が高まる。

・脱炭素に関しては欧米各国を中心に野心的な目標を堅持しながらエネルギーの量、価格両面での不安定化を受け、多様かつ現実的な取り組みを採用する傾向。

・経済成長およびデータセンター、半導体工場の新増設に伴い電力需要が増加すると想定。

【2040年に向けた方向性】

・再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないよう、バランスのとれた電源構成を目指していく。

・徹底した省エネ、製造業の燃料転換を進めるとともに、再生エネ、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することが必要不可欠。

・再生エネか原子力かといった二項対立的な議論ではなく、あらゆる選択肢の検討が必要。

・脱炭素化に伴うコスト上昇を最大限抑制するべく取り組んでいく。

【再生エネ】

・主力電源化を徹底し、地域との共生と国民負担の抑制を図りながら最大限の導入を促す。

・コストを競争力ある水準に低減させ、自立的に導入が進む状態を早期に実現していく。

【原子力】

・優れた安定供給性と技術自給率を有し、他電源と遜色ないコスト水準で、変動も少ない。

・安全性の確保を大前提に必要な規模を持続的に活用していく。

・国民の原子力や行政、事業者に対する不信、不安が払拭できていない。

・新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・設置に取り組む。廃炉を決定した原発を保有する事業者の原発敷地内での建て替えを対象に具体化を進める。

【火力】

・温暖化ガスを排出する課題がある一方、電力需要を満たす供給力、再エネの出力変動を補う調整力などとして重要な役割を担う。

・脱炭素への過渡期の手段として液化天然ガス(LNG)の確保とともに脱炭素化を進める。

・非効率な石炭火力のフェードアウト(段階的削減)を促進する。〔共同〕

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