池上彰氏は「さまざまなイメージが触発される取り組みに魅了された」と話した(13日、埼玉県所沢市)

ジャーナリストの池上彰氏が11月、角川武蔵野ミュージアム(埼玉県所沢市)の館長に就任した。同氏は13日、メディア各社の共同インタビューに応じ「所沢を知の拠点にする」と語った。ミュージアムを運営する角川文化振興財団は「(池上氏の)ジャーナリスティックな視点を生かし、文化を幅広い人たちに伝えてほしい」と期待を込める。

――館長としての抱負を教えてください。

「モネを新しい感覚で取り上げるなど、前館長・松岡正剛さんならではの運営手法に魅了された。何度来ても新たな発見があり、ワクワクした気分になる場所だ。松岡さんが築いた伝統を守りながら、私の色合いを少しずつ出していきたい」

「武蔵野は自然豊かで、文化的な気づきを深めるような場所であったのだろう。所沢を知の拠点にするうえで、ミュージアムが起爆剤になればいいと思う」

――角川武蔵野ミュージアムは「文化複合施設」です。どんな可能性を秘めていますか。

「図書館、美術館、博物館が一緒になっており、文化の新たな融合が生まれるのではないか。私は普段『ニュースをわかりやすく』と言っているが、この中では説明できない、理解しがたいことがある。ここで楽しんでいただくうちに本や絵が好きになり、世の中の森羅万象に関心を持つきっかけになればと思っている」

――ジャーナリストの経験を館長としてどう生かしますか。

「図書館法は時事情報を取り上げなければいけないと定めている。その時々の大きなニュースについて理解を深める本を並べるなど、経験を役に立てていきたい」

「テレビ番組でニュースをわかりやすく解説しているが、番組を見て終わってしまう人が多いことに危機意識を持っている。もっと調べてみたいという思いをもってもらえるよう、きっかけを提供していく」

――具体的に取り組みたいことはありますか。

「まずは月に1〜2回の館長通信を書く。4月以降はイベントや展示会に参画できればと思っている。美術館や博物館の型にはまらない企画も多く、以前は音楽が登場した展示もあった。言葉で伝える展示にも挑戦したい」

(浅野夏樹)

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