北大阪急行電鉄(大阪府豊中市)は12日未明、1970年大阪万博の会場(大阪府吹田市)への主要アクセスを担った臨時線「会場線」のトンネルを報道公開した。万博にちなんだ鉄道遺構の一つで、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の機運の盛り上げを狙う。
終電後、千里中央駅(豊中市)から南にトンネル内を約400メートル歩くと、分岐する部分に出た。これが会場線のトンネルで、東にカーブしている。北大阪急行によると、約300メートルが残っており、その一部が公開された。レールは撤去されているが、バラストと呼ばれる線路の石があった。
同社の担当者は「営業線のバラストはポイント部分の油などの影響で黒っぽいが、会場線のものは白っぽい。営業期間が半年と短かったためだ」と説明。カーブの半径を示す線路標が残っており、実際に電車が走っていたことがうかがえた。
会場線は万博開幕を控えた70年2月24日に開業した。分岐部から万国博中央口駅までの3.6キロメートルをつなぎ、途中には仮設千里中央駅があった。
江坂駅を起点とする南北線と同時開業し、大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)御堂筋線との相互直通運転を開始。新大阪駅から万国博中央口駅までの所要時間は17分、梅田駅からは24分だった。6421万人余りに上る万博入場者の32%に当たる約2074万人を輸送した。
万博閉幕翌日の9月14日に会場線は廃止され、仮設千里中央駅に代わって現在の千里中央駅が開業した。中国自動車道の一部を占有していたため、地上部分はすぐに撤去された。残ったトンネルのうち分岐部は電車内からも見ることは可能だ。
北大阪急行は京阪神急行電鉄(現阪急電鉄)を主体に67年12月に設立。万博会場への輸送と千里ニュータウンと大阪・都心を結ぶ輸送が目的だった。2025年は開業から55周年を迎え、大阪で再び万博が開催されることから会場線を公開したという。
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