農林水産省は10日、2024年産米の収穫量が前年比2.7%増の679万2000トンと発表した。増加に転じるのは18年産以来6年ぶり。ただ25年の在庫水準は24年とほぼ変わらない見通しで需給の逼迫はなお続きそうだ。
農水省は7月末以降、定期的にコメの収穫量や作況をまとめている。今回の発表で、一部でまだ収穫を終えていない沖縄県を除く地域の作付面積や作況、収穫量が確定し、全国的な24年産米の生産状況が固まった。
米価上昇を見込んだ作付面積の増加が生産量を押し上げた。主食用米の作付面積は1.3%増の125万9000ヘクタールだった。23年産米価が上昇し、生産者の主食用米の作付け意欲を刺激した。特に秋田県や青森県、茨城県など東日本の主産地で増産が目立った。
コメのとれ具合を示す作況指数(平年=100)は全国で「平年並み」の101だった。地域別では、北海道は「やや良」の103、宮城県は「良」で最高の107となるなど北日本では天候に恵まれ、豊作傾向となった。
一方で、最大産地である新潟県や山形県では日照不足や大雨などの被害があり、作況は「やや不良」だった。九州では高温やカメムシの影響が出て、宮崎県や鹿児島県など作況が「やや不良」となる県が目立った。
生産量は23年比で増加したものの、市場では現時点で需給が緩和に向かうとの声は聞かれない。
24年の収穫量を元に推計すると、25年6月末の民間在庫量は158万トンとなる見込み。24年6月末時点の153万トンから3%増えるが「需給はなお逼迫する水準だ」(大手コメ卸)との見方が多い。
秋から新米が出回っているものの、集荷競争が厳しく、需給は引き締まったままだ。予定数量を確保しきれていない卸などの買い姿勢は衰えていない。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。