新サービスを発表するイトーヨーカ堂の伊藤弘雅取締役(左)とオニゴーの梅下直也代表取締役(5日、東京都大田区)

イトーヨーカ堂は5日、配送スタートアップのONIGO(オニゴー、東京・世田谷)と配送事業の新サービスを始めると発表した。2025年2月で自前のネットスーパー事業の営業を終えるなか、従来とほぼ同じ品ぞろえを維持しつつ、オニゴーの配送サービスを通じて最短40分で届けるようにする。来年2月に首都圏などの93店舗で始める予定だ。

新サービスはオニゴーが開発する専用アプリなどで注文する。対象商品はたばこや医薬品、一部の食品を除く8000〜9000品。基本的に注文から70分程度で届く仕組みだが、別料金を支払った利用者には最短40分で配送する。

現在オニゴーが提供する即時配送サービスは注文後最短20分で商品を届ける。自転車やバイクで運ぶため弁当や飲料、お菓子などの配送が多い。新サービスは車も使うため、ヨーカ堂が手掛けるコメや飲料水など重い荷物も配送しやすくなる。卵や牛乳など購入頻度が高い約2000品は店頭価格に近いお得感を打ち出す。

ヨーカ堂の商品配送事業を巡っては10月、親会社のセブン&アイ・ホールディングスがネットスーパー事業から撤退すると発表し、関連費用で24年3〜8月期に458億円の特別損失を計上した。23年秋に新設したばかりの倉庫特化型ネットスーパー専用施設の利用なども来年2月までに取りやめる。

5日開いた事業説明会で、ヨーカ堂の伊藤弘雅取締役は「倉庫型施設を閉めるという苦渋の決断をした際、ファミリー層などからネットスーパーを継続する要望が多かった」と説明。今回の取り組みは「ヨーカ堂としてビジネスを続けるためにもう一度考えた結果だ」と述べた。将来的に介護用品や医薬品の取り扱いも検討する。

01年にネットスーパー事業を始めたヨーカ堂は現在、約240万人の会員を持つ。ただ、横浜市に設置した倉庫型施設からは注文から配送まで最短で7時間かかるほか、米アマゾン・ドット・コムやイオンなどとの競争は激しく、同事業の売上高は24年2月期に291億円と前の期比17%減った。500億円を超えたピーク時と比べて低迷している。

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