就職情報サイトのマイナビは29日、全国平均の最低賃金を1500円に引き上げることについての意識調査の結果を発表した。調査の対象は企業とアルバイト就業者で、引き上げに合わせて段階的な賃上げを実施できないと考える企業は半数に上った。

最低賃金の引き上げを目指す政府と人件費増加による経営圧迫を懸念する企業との意識の乖離(かいり)が浮かび上がった。

調査は11月1〜6日にインターネット上で実施。自社の非正規雇用労働者の採用方針を把握している経営者や採用担当者と、11月時点でパート・アルバイトをしている15〜69歳(中学生除く)の男女にそれぞれ調査した。企業の有効回答数は863件、パート・アルバイト就業者は473件。

企業の採用担当者に最低賃金1500円への引き上げに合わせて、毎年段階的に賃上げを実施できるか尋ねたところ、「どちらかと言えばできないと思う」もしくは「できないと思う」が計56.3%にのぼった。「できると思う」「どちらかと言えばできると思う」の合計(43.7%)を12.6ポイント上回った。

最低賃金引き上げに対する不安や懸念点を複数回答で尋ねたところ、52.7%が「人件費の増加による経営圧迫」を挙げた。「価格転嫁した際の価格競争力低下」(29.2%)や「働き控えによる人手不足の加速」(29.0%)を懸念する声も多かった。

最低賃金の水準が上がった場合の対応策としては、複数回答で「価格転嫁・値上げ」が37.0%と最も高く、「設備投資削減」(24.9%)、「業務プロセスの改善」(22.2%)が続いた。

アルバイト就業者に最低賃金を1500円に引き上げることについて尋ねたところ、「実現してほしい」と「どちらかと言えば実現してほしい」が合わせて83.1%だった。実現してほしい理由としては「生活が苦しい」「物価が上がっているから」などの意見が挙がった。

マイナビキャリアリサーチラボの宮本祥太研究員は、1500円への最低賃金引き上げについて「実現時期の目標ベースで進めるのではなく、企業の実態、雇用や経営への影響も十分考慮した議論が求められる」と指摘する。

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