米アムジェンは26日、開発中の肥満症薬の第2相治験の結果を発表した=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】米製薬大手アムジェンは26日、開発中の肥満症薬「マリタイド」の第2相臨床試験(治験)の結果を発表した。効果のない偽の薬(プラセボ)を投与した患者に比べて、最大で20%の減量効果があったと発表した。

株価は一時1割安

この治験では約600人の肥満か過体重の人を対象とし、2型糖尿病と糖尿病ではない二つのグループに分けて52週間調査した。2型糖尿病ではない患者は最大で20%の減量効果を得られ、2型糖尿病患者は最大で17%減量した。第2相治験の結果を受け、アムジェンは最終段階にあたる第3相治験を開始することを明らかにした。

一方、アナリストが予想していたより減量効果が低かったため、26日の米株式市場でアムジェン株は一時10%以上下落した。

米JPモルガン・チェースのアナリスト、クリス・ショット氏は「市場は(米イーライ・リリーの肥満症薬)ゼプバウンドを上回る効果を予想していた」と指摘した。ゼプバウンドは20〜22%の減量効果があるとされている。

バイデン政権、保険適用の範囲を拡大へ

肥満症薬をめぐって、これまで米国の公的保険は減量を目的とした治療薬の保険適用を禁じていた。だが、米バイデン政権は26日、肥満症薬を高齢者向け公的医療保険「メディケア」や低所得層向けの公的医療保険「メディケイド」の適用対象になるように法解釈を見直すよう提案した。最近では医学界が肥満を慢性疾患として認識していることを理由に挙げた。

米疾病対策センター(CDC)によれば、米国人口の約4割が肥満だとされている。肥満症薬が公的保険でカバーされれば、さらに市場は広がることが予想される。同時にこれらの治療薬は高額であるため、国民が税金で負担する額も膨らむ可能性がある。

新提案はトランプ次期政権が受け入れる必要がある。トランプ前大統領が厚生長官への起用を発表しているロバート・ケネディ・ジュニア氏はこれまで肥満症薬に対して批判的な立場をとっており、先行きは不透明だ。

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