「第6回日経SDGs経営大賞」で大賞を受賞したソフトバンクの宮川潤一社長(26日、東京都千代田区)

日本経済新聞社は26日、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に貢献する先進企業を選出する「第6回日経SDGs経営大賞」の表彰式を東京都内で開催した。大賞のソフトバンクなど5社を表彰した。自然資本や生物多様性への配慮に加え、人的資本、人権尊重など社会に与える幅広い影響を考慮した企業が高い評価を受けた。

同賞は国内の上場企業などを対象に887社から回答があった「日経サステナブル総合調査」のSDGs経営編の結果に基づき、外部審査委員会が企業の取り組みなどを総合的に審査した。審査委員長の伊藤邦雄・一橋大学CFO教育研究センター長は「各社のSDGs経営は毎年進化しており、本業を通じて社会課題の解決を図っている」と述べた。

ソフトバンクの大賞受賞は2年連続。「SDGs戦略・経済価値」など3つの項目で高い評価を獲得し、総合評価で最上位の格付けとなった。同業他社と連携して取引先調査を共通化することでサプライヤーの負担を軽減する取り組みや、人工知能(AI)を巡る教育支援で生徒の学力向上などの社会的インパクトを生み出した点が評価された。

同社の宮川潤一社長は「AIの進化によって電力消費量も増えている。再生可能エネルギーの調達にとどまらず、我々自身がエネルギーづくりに貢献できるよう企業をあげて学んでいる」と話した。その上で「SDGsをけん引する企業の代表格になれるように努力していく」と挨拶した。

部門賞に当たる「SDGs戦略・経済価値賞」には島津製作所が選ばれた。マイクロプラスチックを回収した際に必要な前処理を自動で行う装置の開発などが社会課題解決につながるとして高評価を得た。山本靖則社長は「これからもビジネスの中で人と地球のサステナビリティー(持続可能性)を実現していく」と挨拶した。

「社会価値賞」にはサントリーホールディングスが選ばれた。人権の尊重に関する取り組み方針や、従業員のエンゲージメントスコアの公表などを進めた。このほか、23年度の社会貢献活動費が売上高比で0.22%と高く、年間1人あたりの研修費も約46万円と高水準にあった点が評価された。河本光広人財戦略本部副本部長は「すべての社員が個性と能力を発揮しながら、成長を続けられる風土醸成に取り組む」と話した。

「環境価値賞」には大林組が選ばれた。製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を抑えたコンクリートで環境負荷情報を開示する環境ラベルの認証を取得し、CO2の削減効果を見やすくした。国内外で再生可能エネルギー事業にも力を入れており、蓮輪賢治社長は「『省エネ』と『創エネ』で我々が日ごろ建設事業などで使っているエネルギーを実質ゼロにしたい」とコメントした。

今回新たに認定した高評価を続ける「プライムシート企業」にはソフトバンクとリコーが選出された。リコーは包装材を発泡スチロールから古紙由来の包装材に変更するなど、廃棄プラスチックの削減に積極的だ。大山晃社長は「長年サステナビリティーを経営の中にいかに取り組むかを社員一丸で取り組んできた」と話した。

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