製品の値上げで増収を確保した

伊藤ハム米久ホールディングス(HD)が2日発表した2024年3月期の連結決算は、純利益が前の期比8%減の155億円だった。国内で食肉の需要が底堅かったものの、海外での牛肉の値下がりが影響した。加工食品の値上げ浸透などで、売上高は9555億円と4%増えた。

25年3月期の連結業績は、売上高が前期比2%増の9700億円、純利益は3%増の160億円を見込む。値上げなどで販売数量は減少するものの、容器のまま温められるタイプなどの高価格商品を増やす。年間配当は145円と前期から20円上積みする。

同日、27年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。加工食品事業の底上げなどで、売上高は前期比5%増の1兆円、経常利益は15%増の300億円を目指す。加工食品の工場再編やM&A(合併・買収)といった成長投資に550億〜850億円を投じる。

株主還元には300億円を充てる。株主資本配当率(DOE)3%以上を目標に掲げた。配当を増額または維持する「累進配当」を25年3月期から導入し、4〜9月期末配当も始める。

併せて、36年3月期までの長期経営戦略も示した。経常利益は前期比1.9倍の500億円、自己資本利益率(ROE)8%以上を目指す。合計2000億円の投資枠を設ける。原材料が高騰するなか、海外事業を中心に新たな収益源を構築する。

宮下功社長は同日の決算会見で「既存事業では工場の再編や集約で競争力を強化する。日本の市場規模は中長期的に減少傾向にあり、M&Aも視野に海外での売上比率を高めていく」と話した。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。