新薬関連などで減損損失を計上した

アステラス製薬は12日、2024年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前の期比97%減の30億円になったと発表した。従来予想から550億円下方修正した。神経系の希少疾患治療薬の研究開発が想定より遅れていることや、販売が苦戦する腎性貧血治療薬の将来販売計画を見直した結果、減損損失を計上した。

事前の市場予想の平均(QUICKコンセンサス)は36%減の635億円で、修正後の純利益は市場予想を約605億円下回った。

神経系の希少疾患「フリードライヒ運動失調症」患者を対象とした治療薬候補「AT808」について資産価値を見直し、無形資産の減損損失約400億円を計上した。当初計画から開発が遅れていることや、競合薬の開発状況などを考慮した。

日本と欧州で販売している腎性貧血治療薬のエベレンゾについても競合薬が多く登場してきた結果、販売が低迷している。同治療薬の将来の販売計画を見直し、無形資産の減損損失約160億円を計上した。加えて、抗がん剤の開発計画の更新などに伴う条件付き対価に関わる公正価値の変動額約80億円も、その他の費用として計上した。

売上高にあたる売上収益は3%増の1兆5620億円と、従来予想を据え置いた。適応症の拡大などで主力の前立腺がん向け治療薬「イクスタンジ」や尿路上皮がん向け治療薬「パドセブ」の販売が伸びた。アステラスは25日に24年3月期決算の発表を予定している。

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