奈良県と同県天理市、シャープは12日、ものづくりスタートアップの創出・育成に向けた連携協定を結んだ。カーボンニュートラルの実現や、先端技術を活用した地域課題の解決にも共同で取り組む。シャープは天理市のほか、大和郡山市、葛城市の奈良県内3カ所に大規模な事業所を構えている。天理市とは2020年から協定を結んでいるが、今回、奈良県も加わり、内容も拡充した。
スタートアップ支援では、シャープの天理事業所内のインキュベーション施設への企業誘致や入居費の支援を実施する。入居から半年間はシャープが入居賃料を全額負担し、その後2年間は県と天理市が25%ずつを補助する。人材育成ではシャープが実施するプログラム「モノづくりブートキャンプ」を活用し、理工系の大学生や社会人が起業や経営ノウハウを学ぶ機会を提供する。
協定にはシャープ子会社のシャープエネルギーソリューション(大阪府八尾市)も参加し、創エネや省エネなどの各分野で連携を拡大。太陽電池など再生可能エネルギーを人工知能(AI)で効率的に活用した、脱炭素に向けたまちづくりなども視野に入れる。県が計画している水素エネルギーの活用に対する支援も進める考えだ。
同日、奈良県庁で開かれた締結式に参加したシャープの種谷元隆常務執行役員CTOは「奈良県から世の中に様々な情報を発信していく基盤として取り組んでいきたい」と話した。山下真知事は「脱炭素や地域課題解決にも協力を広げていく。(脱炭素では)海外での成功事例を本県にも提案してもらいたい」などと期待を示した。
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