委託先の運送会社に残業代などを支払わなかったとして、公正取引委員会はオフィス家具大手「イトーキ」(東京都中央区)に対し、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いがあるとして近く警告を出す方針を固めた。関係者への取材でわかった。
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イトーキはオフィス用家具などを製造、販売し、運送会社に商品の搬送や組み立て、設置を委託している。
関係者によると、イトーキは委託先の運送会社数十社の運転手に対し、年度末など繁忙期に生じた時間外労働や、商品のトラックへの積み込みや段ボールの返却といった契約外の業務をさせた際の代金を支払っていなかった疑いがあるという。
今回の警告は、「物流特殊指定」という独禁法の告示に基づく。公取委はこの公示で、優越的な地位にある荷主が物流事業者に不利益を与える報酬の減額や買いたたきなど、九つの禁止行為を取り締まっている。
公取委が出す警告は、独禁法違反の疑いがある行為の取りやめや再発防止を求める行政指導で、従わなかった場合に罰則が科される「排除措置命令」に次ぐ措置。労働時間の規制強化で運転手不足が懸念される「2024年問題」を踏まえ、公取委は運送業界の不公正な取引の取り締まりを強化しているという。(高島曜介)
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