すかいらーくホールディングスが13日発表した2024年1〜9月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比2.3倍の104億円だった。グループ店の業態転換やメニューの見直しなどが奏功し既存店売上高が伸びた。セルフレジの導入など店舗運営の効率化も進め、食材や人件費の高止まりを吸収した。
売上高にあたる売上収益は12%増の2946億円、営業利益は94%増の192億円だった。売上高営業利益率は2.7ポイント高い6.5%だった。1〜9月としては19年以来の高水準だった。
利益拡大をけん引したのは既存店の伸びだ。主力のファミリーレストラン「ガスト」では人気タレントとのコラボ商品の投入やメニュー改定で客数が増えた。4月に約6割の商品を値上げし客単価も上昇した。1〜9月の既存店売上高は前年同期比12%増となり、営業利益ベースで126億円の増益要因になった。
デジタルトランスフォーメーション(DX)による店舗運営の効率化も奏功した。セルフレジや配膳ロボットの導入が一巡し、従業員の生産性改善につなげた。金谷実社長は同日の決算記者会見で「会計から片付け完了までの時間をデータで可視化して短縮する取り組みも進んだ。ピーク時間の回転率が上がり、客数の増加につながった」と話した。
一方で、人件費の高騰やコメなどの原材料高は46億円の営業減益要因となった。1〜9月期の期中平均の為替レートは1ドル=151円程度と前年同期から13円ほど円安が進み、食材の輸入価格が膨れた。金谷社長は「肉類は調達エリアを拡大した。最も安く調達できる地域で原材料高に対応している」と話した。
24年12月期通期の業績予想は据え置いた。売上収益は前期比11%増の3950億円、純利益は2.7倍の130億円を見込む。ガストなどグループ店の売上高の回復が業績を押し上げる。食材ロスの削減などコスト抑制を進めたことも寄与する。
10月には九州地盤の「資(すけ)さんうどん」を買収した。SBI証券の田中俊シニアアナリストは「ファミリー層以外にも顧客の幅を広げることができ、人口減が進む中でも競争力を維持できる業態だ」と期待する。
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