オンライン決算説明会に登壇した十時裕樹社長(8日)

ソニーグループの十時裕樹社長は8日、オンライン決算説明会に登壇し、次期米大統領がドナルド・トランプ氏に決まったことについて、「米国が世界経済に与える影響は非常に大きい」と述べた。そのうえで製造拠点や出荷方法、価格転嫁の考え方を整理することが必要だと語った。主な一問一答は以下の通り。

――25年3月期の半導体事業の見通しを引き下げました。画像センサーの販売が米アップルに集中していることがリスクになっているのでは。

「半導体画像センサーの市場は回復基調だが、その角度は非常に緩やかで安定的なものだ。今期の下方修正は大口顧客の生産計画の見直しに合わせたもので、通常の事業運営の一環で実施した。26年3月期以降の見直しは考えていない。生産能力を大きく変える必要はなく、在庫の調整で対応できる」

「顧客が集中するリスクは昨今の話ではない。できるだけ技術を磨いて、多様な顧客に製品を使ってもらうようにすることが重要だ」

――プレイステーション(PS)5の上位機種「プロ」を11月に発売しました。1台約12万円という価格は通常版のPS5を含めた販売に影響は出ませんか。

「価格設定については賛否両論あったが、PS5の販売計画に悪影響は出ていない。24年4〜9月期は計画通りに推移した。下期は販促施策も実施し、当初の年1800万台前後とする販売目標を維持する」

――8月下旬に投入した新作ゲーム「コンコルド」が発売2週間でサービス終了しました。

「新しいゲームサービス事業はやってみないとわからない部分があるが、ユーザーテストや社内評価を早期段階で検証する必要があったと反省している。組織を横断した企画開発や販売連携など、基本的な部分を強化することが重要だ」

――米国大統領選の結果をどのように受け止めていますか。

「米国が世界経済に与える影響は非常に大きい。地政学の影響も大きく、ビジネスに関連してくる。事実をしっかりと分析し、将来起きることを予見する。そのうえで、どの国で製造して、どういう形で出荷かするかを考え、価格転嫁の考え方を整理する」

――最先端半導体の量産を目指すラピダスへの追加出資への意向はありますか。

「半導体産業は日本経済の発展や経済政策で極めて重要な分野だ。半導体エコシステムが再強化されれば、人材の拡充や供給網の強化につながり、業界全体にとってプラスになる。一定の貢献はしていきたいと考えている」

(窪田真奈)

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