2022年度補正予算のうち34事業の1兆4000億円あまりが全額使われなかった問題について、加藤勝信財務相は8日の会見で、「結果として繰り越しや不用になったものもある」との認識を示し、「規模ありき」の予算編成を否定した。  補正予算は、緊急性がある場合に限り作成することができると財政法で規定される。

加藤勝信財務相(資料写真)

 会計検査院が6日に提出した「23年度決算検査報告」によると、物価高対策として22年度に編成された補正予算総額約32兆円のうち、34事業の1兆4873億円が全額使われず、23年度へ繰り越された。多くは23年度にも使われず、5985億円が不用となり、228億円がさらに24年度へ繰り越された。  加藤財務相は、新型コロナに対応するための事業に触れ、「地方自治体や事業者の申請が感染状況に左右された」と説明。「結果として繰り越しや不用になったものがある」と述べた。  一方、24年度補正予算の編成に向け「真に必要になる事業を一つ一つ積み上げ、党派を超えて優れた方策を取り入れる必要がある」と語った。

◆24年度補正、石破首相は前年度超える「規模」と

 政府は間もなく総合経済対策を策定する。その財源的な裏付けとなる24年度補正予算について、すでに石破茂首相が10月の衆院選公示日の段階で、23年度の13兆円を超える規模にするとの考えを示していた。  政治判断で短期間に決まる補正予算は、財務省の厳しい査定が入る本予算に比べ、予算の拡大を狙う各省庁の思惑が働きやすいとされる。補正の規模が、政治家の「やってる感」のアピール材料としても使われ、元々、「どんぶり勘定」になりやすい面がある。  ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「石破政権の支持率は低く、来夏は参院選も控える。それに加えて国民民主党の要望にも配慮が必要になっており、今回の補正予算は例年よりもさらに膨らみやすい。不要不急なものが入り込まないか綿密なチェックが必要だ」と指摘する。(石井紀代美) 

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