11日の「くつしたの日」を前に、靴下メーカーのニット・ウィンは8日、奈良県葛城市の本社工場前に新店舗をオープンした。靴下販売に加え、一般消費者の工場見学ツアーも受け入れる。同社は海外約30カ国に商品を輸出し、大阪と東京にも店舗を持つ。国内最大の靴下産地である地元の奈良で、ものづくりの価値を体感してもらう。
店舗は新築した社屋の2階に設け、面積は約48平方メートル。「はくひとおもい」をコンセプトに同社が展開する「ニシグチクツシタ」など3ブランドの約80種類を販売する。上質な天然素材を使い、きめ細かなニーズに対応した商品づくりを持ち味とする。
工場ツアーは事前予約制(無料)で1回の定員は4人。新旧130台の機械が稼働する工場を従業員が案内し、職人も説明を担当。糸から製品になるまでの工程を見られる。西口功人社長は「ものづくりの姿勢や技術を知ってもらいブランドの価値を感じてほしい」、社員には「顧客と接することで誇りを持ってもらいたい」と話す。
ニット・ウィンは2018年のオーストラリアへの輸出を手始めに、現在は欧米を中心に海外300店舗での取り扱いがある。海外売上高比率は約2割。SNS(交流サイト)での発信にも積極的で、東京・浅草橋と大阪・南船場の店舗では約4割が外国人客という。
奈良県は国産靴下の約6割を生産する日本一の産地だが、メーカーの減少傾向が続いている。一方で、OEM(相手先ブランドによる生産)依存から脱却し自社ブランドでの販売に取り組んだり、海外市場を開拓したりする動きも徐々に広がっている。
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