カナデビア(旧日立造船)の桑原道社長は8日開いた決算説明会で、船舶用エンジンの燃費データを改ざんしていた問題について陳謝した。「当社の存立基盤としている技術への信頼を失墜させる不祥事を起こしたことを深く反省している」と頭を下げた。不正を受け受注活動を縮小していることや、次世代燃料に対応したエンジンの開発が遅れる可能性にも言及した。
7月に子会社2社が1999年以降に出荷した約1400台で燃費データの書き換えが発覚した。その後、桑原社長が初めて公に発言した。不正の再発を防止するため、内部統制制度の強化などの対応策を検討しているとも明らかにした。
エンジンの検査工程などを見直しており、費用が増大しているとして、エンジン事業の2025年3月期の営業損益の見通しは期初の1億円の黒字から7億円の赤字に引き下げた。
足元では船舶エンジンの受注活動は「極めて限定的なものにとどめている」とし、需要は底堅いものの受注規模は従来の計画をかなり下回る見通しだという。メタノールやアンモニアといった次世代燃料向けエンジンの開発についても不正への対応を優先するため「開発スケジュールの遅れは避けられない」との見方を示した。
顧客からの損害請求については「現時点でそういった事象は発生していない」と話した。
今回の不正を巡っては、外部の弁護士で構成する特別調査委員会が原因究明の調査を継続している。経営陣の責任については「調査結果を踏まえて判断することになる」と述べるにとどめた。
24年4〜9月期連結決算で売上高や営業利益は「ほぼ想定通りの進捗で推移した」と語った。洋上風力の発電事業の投資を減損処理して15億円の持ち分法投資損失が発生し、経常利益の減少や最終損益の赤字につながったと説明した。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。