大阪府立病院機構が運営する大阪母子医療センター(和泉市)で、産科主任部長が部下の医師に「人間として失効している」などの暴言を日常的に浴びせ、機構が設置した第三者委員会がパワーハラスメントと認定したことが分かった。機構が7日に公表した第三者委の報告書で明らかになった。報告書は、病院側の対応も問題視している。
報告書によると、パワハラ行為をしていたのは同センターの産科主任部長で50代男性。2018年4月に部長に就いた。
産科主任部長は事務手続きのメールを見落とした部下の医師に対し、業務中に「人間としてとっくに失効してるだろう」「自分、本当に人間だったかなって確認してみたら?」と暴言を浴びせるなどした。これらの状況に、抑うつ状態になって退職した人や医師を諦めようとした人もいたという。
また、部下が当直勤務ができない日などを入力していたデータを男性医師が無断で消したケースもあったという。
産科主任部長の部下の医師36人(退職者含む)のうち、8割にあたる29人が精神的苦痛を受けたり暴言などの様子を直接見聞きしたりしたという。機構は今後、産科主任部長の処分を検討する。
報告書は、パワハラ行為の訴えがあったにもかかわらず、適切な調査を進めなかった機構や病院の対応を問題視した。
産科主任部長の言動などをめぐっては、22年5月、「厳しい指導が原因と思われる、特に若手医師の休職、離職が目に余る」などと機構に公益通報があった。ただ内部調査ではパワハラと認定されず、産科主任部長は書面での注意にとどまった。
だがその後も、パワハラを受けたとする公益通報が2度あった。今年3月、医師有志が実名で機構の理事長にパワハラについての記録を提出。すると機構は第三者委を設置し、調査を進めた。
報告書では病院側が「客観的な証拠(録音やメールなど)の入手にむけて積極的に動いた形跡はうかがわれない」「主任部長へのヒアリングはわずか25分間で終了している」などと指摘。「公益通報について、適切かつ実効的な対応が行われたとは考えられない」としている。
機構の担当者は朝日新聞の取材に「対応が不十分だったと認識している。第三者委の改善案を全て確実に実行する」と話した。(西晃奈)
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