伊藤忠商事など3社は1日、経営が悪化していた中古車販売大手ビッグモーター(BM)を買収し、主要事業を承継する新会社「WECARS(ウィーカーズ)」を設立したと発表した。BMは保険金の不正請求などが発覚し、経営が悪化していた。伊藤忠などは全国約250の店舗や約4200人の従業員を引き継ぎ、再建をめざす。

 買収には、伊藤忠の子会社でガソリンスタンド事業などを手がける「伊藤忠エネクス」と、企業再生ファンド「ジェイ・ウィル・パートナーズ」が加わった。伊藤忠は2~3年後をめどにジェイ社から新会社の全株式を取得し、完全子会社化する方針だ。

 新会社は、中古車の販売や整備、修理といったBMの主要事業を引き継ぐ。社長には、英タイヤ小売り最大手を立て直した経験などを持つ元伊藤忠商事執行役員の田中慎二郎氏が就任。社外取締役に伊藤明子・前消費者庁長官を起用するなどして、不正が横行していた社風の一新と、経営の透明化をめざす。BM創業家の兼重宏行前社長らは経営に関与しない。

 BMは、兼重氏が1976年に出身地の山口県岩国市で「兼重オートセンター」として創業。中古車の買い取り・販売から整備、車検、保険に至るまでのサービスを担うことで、業界最大手に成長した。だが、車両を意図的に傷つけるなどして保険金を詐取する悪質な手口が明らかになり、客離れを招いて経営が悪化していた。(宮崎健)

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