松屋は最大2万円相当の商品が当たる「食の福ガチャ」を販売する

主要百貨店の2025年初売りに向けた福袋の内容が出そろった。「ハレの日需要」を喚起しようと、旅行や豪華な食料品などをお得に楽しめる品を押し出す。元日や1月2日を休業する動きが強まり福袋市場は縮小が予想されるが、「お得」と「ぜいたく」の両輪や大谷翔平選手の偉業にちなんだ商品など各社は知恵を絞る。

お得な買い物券

大丸松坂屋百貨店は、大丸東京店(東京・千代田)で「食品制覇福袋」と題し、同店の弁当やスイーツ、レストラン・喫茶それぞれを割安に楽しめる福袋を展開する。24年は弁当のみを対象に販売したところ好評で、25年は種類を増やす。

和洋菓子売り場の48ブランドでそれぞれ2000円分使える買い物券をセットにした9万6000円相当の「菓子制覇福袋」(6万円)と、3000円の買い物券25ブランド分をセットにした7万5000円分の「レストラン喫茶制覇福袋」(5万円)を新たに追加した。

これ以外にも、紫水晶「アメシスト」や天然石のブレスレットなどをセットにした福袋(2025万円)や、缶詰やジュースなどの食品を詰め合わせた20キログラム超えの重い「ヘビー」な福袋(2万250円)などをそろえる。25年のえとがへび年に当たることにちなんで言葉遊びをした名称を付けた。

高島屋は旅行福袋などを企画した(イメージ)

高島屋は豪華客船の最上位クラスの客室でクルーズを楽しめる福袋(405万円)やチャーターしたヘリコプターで移動する「佐渡島プライベート旅行」福袋(300万円)など、高額でぜいたくな体験ができる商品を企画した。パリ五輪の新競技に採用されたブレイキンの特別体験レッスンが受けられる福袋(5500円)など、貴重な機会を手軽に楽しめる福袋も用意する。

「50-50」ちなんだワインやハンカチ

松屋は銀座店(東京・中央)で24年の初売りで好評だった「食の福ガチャ」(5000円)を25年も販売する。海鮮や肉など20種類以上の商品の中から最大2万円相当の賞品が当たる。1万3000円相当の菓子が入った福袋(1万円)や大谷選手が史上初の「50本塁打、50盗塁(50-50)」を達成したことにちなみ、赤ワインと白ワイン各50本をセットにした25万円相当のワイン福袋(17万円)など、ぜいたくながらもお得さを打ち出した商品を企画した。

東武百貨店でも「飼育員おしごと体験福袋」(5000円)や「オーケストラ指揮者体験福袋」(2万円)など体験型の福袋を用意する。

一方、そごう・西武は、西武池袋本店(東京・豊島)で25年の福袋の店頭販売を見送ると発表した。家電量販店の出店に伴う改装工事の影響を受けて売り場が手狭となるため、来店客の安全確保を優先する。そごう横浜店(横浜市)など、ほかの全国9店や電子商取引(EC)での取り扱いは24年同様に継続する。

西武池袋は近年、主要百貨店が元日や1月2日に休業する中、東京都内で元日から福袋などの初売りをしていた唯一の百貨店だった。このため例年は福袋目当ての客の来店が多く都内の元日の風物詩となっていた。25年の福袋の売り上げは他店やECの販売を伸ばすことで、前年並みを目指すとしている。西武池袋が元日に食品売り場などの通常営業をするかは「検討中」(同社)という。

西武池袋本店は来年は福袋を休止する(2024年1月1日午前、東京都豊島区)

池袋本店の店頭販売はないものの、西武渋谷店(東京・渋谷)などでは大谷選手の50-50にちなんで、ハンカチと靴下を50ずつセットにした2万2000円の品を売り出す。西武秋田店(秋田市)では足元、コメへの引き合いが強いことからブランド米「あきたこまち」の米俵(60キログラム)を2万250円で抽選販売する。そごう横浜店では横浜で例年夏に開かれる花火大会の日にイタリア料理店を約100万円で貸し切れる品を用意した。

そごう・西武は西武池袋の建物の半分の面積に家電量販店「ヨドバシカメラ」が出店するため、25年の改装開業に向けて店内の工事を進めている。

(米田百合香、斎藤萌)

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