決算会見に加藤知巳CFO(写真左)とともに日立エナジーのシーレンベックCEOも登壇した(30日、東京都千代田区)

日立製作所は30日、送配電事業の売上高を2030年に23年比で2.7倍の300億ドル(約4兆6000億円)に拡大する目標を掲げた。同事業を担う日立エナジーのアンドレアス・シーレンベック最高経営責任者(CEO)は24年4〜9月期の決算説明会で「電力産業のスーパーサイクル(受注急拡大期)は20年続く」と述べた。

25年3月期の売上収益見通しを前期比(売却済み事業を除く)7%増の9兆1500億円と、従来予想から1500億円積み増した。送配電網や鉄道、原子力事業での大型受注が増えた。

シーレンベック氏は「データセンターが想定以上に伸びている。今後の送配電網の整備は長く続き、市場で今後何が起きるのかを可視化できている」と強調した。事業リスクについて問われた際には「極めて慎重にリスク管理しており、プロジェクト遅延についてもリスクヘッジできている」と語った。

9月末時点で日立エナジーの受注残は5兆3000億円にのぼり、今後3年間で60億ドル(約9200億円)を投じて世界各地の変圧器や開閉装置などの送配電設備の生産能力を高めていく方針も改めて示した。

日立エナジーはスイスの重電大手ABBの送配電部門を日立が買収して発足した。シーレンベック氏は「日立グループのデジタル技術との相乗効果を高めて送配電網事業の収益率を高めていく」と語った。

加藤知巳最高財務責任者(CFO)は日本の政治体制の変化について問われ、「国内のIT(情報技術)投資の好調は続く。(原発事業などの)社会インフラへの影響については注視したい」と話した。

大統領選を控える米国については「現政権は送配電網や鉄道に活発に投資しているため、影響はある」とする一方で「電力網の更新需要は政権によらず、安定的な受注が期待できる」と話した。

(細川幸太郎)

【関連記事】

  • ・日立、AI投資増が電力網に恩恵 4~9月純利益40%増
  • ・日立の営業益200億円上方修正 25年3月期、送配電好調

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。