半導体材料大手のJSRが30日発表した2024年3月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が55億円の赤字(前の期は157億円の黒字)だった。バイオ医薬品の開発・製造受託事業と半導体材料のいずれも振るわず、21年3月期以来3期ぶりに赤字に転落した。25年3月期の業績予想は開示しなかった。
売上高にあたる売上収益は前の期比1%減の4046億円、営業利益は88%減の36億円だった。バイオ医薬品の新工場の一部で大規模修繕をしたことが響いたほか、新型コロナウイルス禍に積み増した在庫の評価損を計上した。半導体材料では、先端半導体向けの先行投資が膨らみ採算が悪化した。
同日の決算説明会でエリック・ジョンソン社長は、医薬品の開発・製造受託などライフサイエンス事業について「製造プロセスに深く入り込んで構造改革をしており、24年内に利益が改善する見通しだ」と述べた。
JSRは、政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)が実施したTOB(株式公開買い付け)が4月に成立し上場廃止になる見通しだ。ジョンソン社長は「(半導体材料業界の再編に向け)様々なシナリオがあり、最善の可能性を追求する」と話した。
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