新たに稼働した低分子医薬品の原薬工場(大分市)

住友化学は化学合成でつくる「低分子医薬品」の原薬などを製造する新工場を大分県で稼働させ、29日に竣工式を開いた。国内で3拠点目で、低分子分野では約20年ぶりの大型投資となる。低分子分野などでの開発製造受託(CDMO)を中心とした医薬化学品事業の売上収益として、2027年度に23年度比で1.5倍の450億円以上を目指す。

岡山県、岐阜県に次ぐ3拠点目として大分工場(大分市)内にプラントを新設した。投資額は100億円程度と見られ、全体で生産能力は1割増える。CDMOではバイオ医薬品などへの注目が高いが、低分子の国内市場の成長率(後発薬を除く)は年6%程度と堅調な推移が見込まれているという。

数十トンレベルの大型品の生産を想定し、国内で3カ所体制にすることで事業継続計画(BCP)対応も強化する。技術面での差別化が難しくなるなか、「他の拠点でカバーできる体制が整い、強みとなる」(瀧敏晃大分工場長)。今後は充填作業の自動化など効率化も目指す。

23年にはバイオ医薬品の一種である核酸医薬の原薬を製造する設備を大分工場内に新設したほか、4月には同工場内にある住友ファーマの低分子薬の原薬をつくる設備も一部、住友化学に移管した。同社は先端医療領域を成長事業に据えており、中核工場となる大分での稼働率の向上を目指す。

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